飲酒「しない」ことを勧める、スウェーデンのウォッカブランド

2022.01.24

Kodai Komatsu

「アルコールを飲まないでください」

スウェーデンのウォッカブランド「Alcoholic Vodka」は、消費者にそう訴えかける。同社は、アルコール飲料メーカーでありながら、ウェブサイトやボトルのラベルに書かれたメッセージを通して、消費者に飲酒“しない”ことを勧めている。

alcoholic vodkaのウォッカ

alcoholic vodka

棚に並んでいても目を引くユニークなデザインのボトル。その蓋には“DON’T DRINK”と書かれたシールが貼られている。大きく印刷された人体模型のイラストには、飲酒が悪影響を及ぼしうる身体のパーツに赤い三角形の警告表示マークが示されており、その裏側には、飲酒がそれぞれの臓器へ与えうる負の影響が丁寧に説明されている。

さらに詳しくラベルをみてみると、太く強調された文字で「本製品は健康を害し、さまざまな重篤な疾病を引き起こす可能性があります。もし何らかの理由で飲まなければならない場合は、責任を持って飲んでください。この危険な飲み物に代わる素晴らしい飲み物がたくさんあります。注文する前によく考えてください。」と注意書きがされている。また、ラベルは学校や病院などでポスターとして使用できるように作られたそうで、Alcoholic Vodkaが単なるパフォーマンスではなく、真剣に啓発を行っていることが窺える。

Alcoholic Vodkaを立ち上げたのは、スウェーデンのクリエイティブディレクターであるヨハン・ピール氏とマグヌス・ヤコブソン氏。これまで数々の広告キャンペーンで受賞歴を持つ彼らは、今回、「製品からデザイン、広告に至るまでの全てのプロセスにおいて100%の透明性を追求した正直な表示をしよう」と、一からブランドを立ち上げた。ラベルの注意書きやパッケージ画像を通して飲酒や喫煙の危険性を警告してきたブランドは他にもあるが、誠実さと透明性を掲げて立ち上がったブランドは、Alcoholic Vodkaが初めてだ。

ピール氏とヤコブソン氏は、ブランドを立ち上げた理由を次のように話す。

「私たちは皆、ライフスタイルや買うものを自由に選ぶことができます。しかし、リスクをきちんと理解したうえで決断することは任意であるべきではありません。私たちは飲酒を非難したいのではなく、ウォッカの認識をこれまでの幻想のようなものから現実に変えたいのです。……私たちは、裏側まですべて伝えることで透明性を追求することの限界を知るための実験しているのです。」

アルコール飲料のボトルに警告文を貼ることで、飲酒量を減らせるか否かの研究を行っているカナダ・ビクトリア大学の物質使用障害研究所(CISUR)によると、ボトルに警告文を貼ることで、貼らなかった場合と比べ、飲酒者1人あたりの売上高が6.31%ほど減ったとされている(※1)

この事実にもかかわらず、“買ってもらう”ためのラベルではなく、“買うことを躊躇させる”ラベルをつくったAlcoholic Vodka。同社の大胆で真剣かつユーモラスな警告は、果たして人々に、そして飲料業界に、どのようなインパクトをもたらすのだろうか。今後の取り組みに期待したい。

※1 The Effects of Alcohol Warning Labels on Population Alcohol Consumption: An Interrupted Time Series Analysis of Alcohol Sales in Yukon, Canada

【参照サイト】Alcoholic Vodka公式サイト
【参照サイト】What’s Up With This Vodka Brand’s Brutally Honest Packaging?

Edited by Tomoko Ito

この記事を書いたライター

小松航大

Kodai Komatsu

小松航大(Cody)。1998年香川生まれ地球育ちのHuman being 。20歳の時に1年間かけて世界中のスラム街を巡り、現地の学校で日本語教師の活動を行う(主に中東、アフリカ、南米)。現在はアフリカでのソーシャルビジネス立ち上げに奮闘中。東京でアフリカンなシェアハウス立ち上げ。好きなものは現代アートと小説。好きなうどんはぶっかけうどん。78億人と友達になりたい。
Twitter : @Jam_Obasan__