“新しい建物には、鳥の巣箱を置きなさい。” イギリスの生物多様性を守るルール

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春から夏にかけて日本に渡来する、渡り鳥のアマツバメ。アマツバメはイギリスにも訪れるが、近年その数が減少していることが問題になっている。

英国王立鳥類保護協会(RSPB)によると、20年ほど前にはイギリスに15万組近くのアマツバメが来ていたが、最近は9万組を下回っているという(※1)

このことに危機感を抱いた、イギリス南部のブライトン・アンド・ホヴという街では、2020年4月から、高さが5メートル以上の新しい建物にアマツバメの巣箱を設置することが義務付けられた。夏に訪れるアマツバメの住処を用意し、生物多様性の保全に貢献する狙いだ。

鳥の巣箱というと、木製の家型のものを想像する人が多いかもしれないが、同市ではコンクリートでできた、外壁に埋め込むタイプのものがよく使われている。これらは「Swift brick(アマツバメのレンガ)」という名称で知られているが、スズメ、ムクドリ、シジュウカラなど、様々な鳥が利用するという。

Image via Green&Blue

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同市では2019年11月から、新しい建物の外壁に「Bee brick(蜂のレンガ)」を埋め込むことも義務付けられている。これも、蜂の減少を防ぐことを目的として行われている。

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ただ、蜂のレンガについては、その効果を疑問視する声も出ている。英サセックス大学の生物学の教授であるデイヴ・グールソン氏は、あるレンガを試したところ、空いている穴が浅く、蜂にとって理想的な住処とは言えなかったという。

同氏はThe Guardianの取材に対し、「蜂のレンガは、ピント外れの対策のように見える。生物多様性を守るには、より抜本的な対策が必要であり、こういったレンガはグリーンウォッシュになりかねない」と語っている。

ブライトン・アンド・ホヴの市議会で、アマツバメや蜂のレンガの導入を提案したロバート・ネメス氏は、自身のツイッターに、「蜂のレンガは、大きな問題に対する小さな解決策。安く簡単に取り組めて、見た目も素晴らしい。もちろん他の対策も必要だが、蜂のレンガは良いスタートになる」と書き込んでいる。

鳥などの生物を守るには、豊かな自然環境が必要だ。木や植物を植えるといった取り組みに加えて、建物に鳥や蜂の巣箱を設置できたらいいのではないだろうか。

※1 The RSPB: News: Building new homes for swifts and communities
【参照サイト】 Council takes swift action to protect birds

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