トンガ海底噴火、私たちには何ができる?募金先・支援団体まとめ

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2022年1月14日、ポリネシアに位置するトンガ王国(以下、トンガ)で、海底火山の大噴火が起こった。日本を含む広範囲の太平洋沖で海面上昇が起きるほど大規模であった噴火は、現地の人々へ多大な影響を与えた。

国連食糧農業機関(FAO)によると、トンガの人口の86%が農業に従事しており、今回の噴火によって約1万2,000世帯の農家が被害を受けた。ただでさえ、およそ23%の人が食糧を安定的に確保できていないトンガでは、噴火による火山灰の作物への影響、予想される酸性雨や清潔な水不足など、今後も農業をはじめとした第一次産業への影響や食料不足などが懸念される。さらに、津波の影響による家畜やボートの被害、家屋の倒壊や防潮堤の破壊なども見られている(※1)

本記事では、そんなトンガの大噴火と気候変動の関係、また寄付できる支援団体の情報をお伝えする。

今回の噴火と気候変動の関係は?

甚大な被害をもたらした今回の噴火は、直接的な影響に加えて、気候変動との関係性についても注目された。たとえば、1991年のフィリピン・ピナツボ火山の大噴火や1982年のメキシコ・エルチチョン火山の大噴火の際には、噴火によって地球全体の平均気温が下がったため、今回のトンガの噴火でも、「地球全体が寒冷化に向かうのでは?」といった憶測がインターネット上で流れたのだ。

寒冷化の仕組みについては、噴火によって大気中に放出される物質の一つである二酸化硫黄が、大気中の化学反応によって大気汚染物質であるPM2.5、もしくはエアロゾル粒子に分類される硫酸塩となり、地面に届く太陽光の量を減少させることによって起こると説明される。ただ、以前IDEAS FOR GOODで取材した九州大学の竹村俊彦教授は、今回の噴火による二酸化硫黄の排出量は、上述の過去の噴火を大きく下回り、地球規模の気候変動への影響は限定的ではないかと推測しており、また仮に寒冷化したとしても、気温が低下する期間は短期間だという。

▷エアロゾル粒子と気候変動の詳しい関係については、過去記事「大気汚染を改善すると、温暖化が進む? 脱炭素に必要なのは、複雑さと向き合う力【ウェルビーイング特集 #5 脱炭素】」から

仮に今回の噴火によって一時的に気温が下がったとしても、私たちが温室効果ガスを出し続ける限り、地球温暖化が止まることはない。2021年に公表されたIPCCの報告書では、温暖化が進むことによって、熱波や豪雨といった極端な現象の頻度や強さが増すことが言及されており(※2)、それは自然災害に最も脆弱な国の一つだと言われているトンガ(※3)のような国や地域に特に大きな影響を与える。自分たちが生きる地球の環境を守るために、私たちはこれからも気候変動を止めるべく脱炭素を進めていく必要があるだろう。

トンガの人たちを支援する団体・自治体

すでに多くの団体や自治体が被害を受けたトンガの人々を支援するために寄付を募っている。これから支援したいと考えている人たちに向けて、以下でいくつかの寄付先をご紹介する。

大使館

1. 駐日トンガ王国大使館
駐日トンガ王国大使館は1月28日、義援金受け付けを開始。義援金受け付け口座を公開するとともに、物資の送付は控えてもらうように呼び掛けている。

国際機関

2. 日本赤十字社
国際赤十字・赤十字社連盟は、トンガ赤十字社による救援活動をサポートするために、災害救援緊急資金を活用し、安全な水・衛生の支援、シェルター、生活必需品の支援の準備を行っている。またトンガ赤十字社は、今回の災害で家族の安否がわからなくなった人びとを支援するために、赤十字国際委員会(ICRC)のサポートのもと離散家族支援(RFL)にも取り組む予定。楽天グループの決済手段が利用できる楽天クラッチ募金、Tポイントからも寄付ができるYahoo!基金などが窓口になっている。

3. 一般社団法人アジアパシフィックアライアンス(A-PAD)
アジア太平洋地域で災害が起きたとき、NGO・企業・政府などが連携し迅速かつ効果的な支援を行うためのプラットフォームである一般社団法人アジアパシフィックアライアンス(A-PAD)は、集まった支援金を溶岩や灰、ガスなどから身を守るための防護具や安全な水・食料などの緊急支援物資の配布のほか、シェルターの支援、家々を失った人々の生活を取り戻すための支援に充てるとしている。

4. ピースウィンズ・ジャパン
日本に本部を置き、国内外で自然災害や紛争や貧困など人為的な要因による人道危機や生活の危機にさらされた人々を支援する国際協力NGOピースウィンズ・ジャパンは、安全な水の確保や厚く積もった火山灰の除去作業といった現地のニーズを踏まえ、提携団体を通じて、被災地域での食料、水、医薬品、衛生用品、避難所などの緊急支援に活用するほか、地域主導の長期的な復旧・復興支援を予定している。

5. 日本ユニセフ協会
ユニセフは、トンガ政府や現地にいるパートナーと協力して、子どもたちや家族が緊急に必要としている支援(衛生キット、医薬品、心理社会的支援、教育支援、調整業務や情報管理などの技術支援など)を提供できるよう取り組むとしている。

6. 日本財団
トンガ支援のための基金を設立し、1億円を拠出している日本財団は、メルカリなどの企業と連携して誰もが寄付できる様々な窓口を設けている。

自治体

7. 高知県
同噴火による津波の影響により漁船の転覆や沈没が見られた高知県では、支援のための義援金を受けつけている。

8. 熊本県
令和2年7月豪雨災害時に、在日トンガ人会の方から義援金が届いたことからトンガとは深い縁で結ばれているという熊本県も義援金を受け付けている。

9. 長野県御代田町
御代田町は活火山浅間山を抱える町として、将来、他自治体、他国から支援を受ける可能性を見越し、「お互い様」の精神をもって、甚大な被害を受けた地域への支援を進めるとしている。同町は、ふるさと納税を利用した寄付を受け付けている。

10. 群馬県邑楽町
集まった支援金は、同町と協定を締結しているNPO法人日本トンガ友好協会を通して寄付するとしている群馬県邑楽町。町内の公民館などの公共施設にも募金箱が設置されている。

まとめ

かつて東日本大震災で津波の被害を受けた日本では、すでにトンガの人たちを支援する動きが広がっている。長野県御代田町のように、お互いさまの精神で、今困っている人に手を差し伸べることは大切なことだ。

上記の寄付先は一例で、その他個人でクラウドファンディングなどを通して寄付を集めているスポーツ選手などもいる。各ホームページなどをみてみたうえで、支援先を選んでみてほしい。

※1 FAO Tonga volcanic eruption: what possible impact on agriculture and fisheries?
※2 IPCC Climate Change 2021 The Physical Science Basis
※3 Climate Change Knowledge Portal

【参照サイト】トンガ火山噴火による気候変動の考察速報
【関連記事】大気汚染を改善すると、温暖化が進む? 脱炭素に必要なのは、複雑さと向き合う力【ウェルビーイング特集 #5 脱炭素】

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