フランス、自動車CMで「環境負荷の低い移動手段をすすめる」よう義務化へ

Browse By

欧州環境機関(EEA)によると、欧州連合の温室効果ガス排出量の25%が輸送によるものだという。

このデータを踏まえ、フランスでは2022年3月1日に施行される新法により、二酸化炭素排出の多い車をプロモーションするときは、環境にやさしい交通手段の利用を促すメッセージを入れ込むことが義務化される。広告を流す自動車メーカーは、次の3つのいずれかを選択することになるのだ。

「相乗りを検討しましょう」
「短距離の移動には徒歩か自転車を選びましょう」
「毎日の移動には公共交通機関を使いましょう」

そしてメッセージ末尾には #SeDéplacerMoinsPolluer(#汚染の少ない移動を) というハッシュタグも付ける必要がある。

この法案はテレビコマーシャルや雑誌など、あらゆる媒体が対象で、違反した場合、広告主には50,000ユーロ(約650万円)の罰金が科される。

車の宣伝にこのような文言があるのを目にした消費者は「車が欲しい」と感じると同時に「環境に良いことをしよう」とも考えることだろう。つまり、事業者が売上を伸ばすために一方的な意見を発信し人々の欲望に訴求するだけではなく、良心にも訴えかけバランスの取れた情報を提供するのである。

フランスでは同様の規制を、食品広告ですでに実施。消費者にジャンクフードを減らし、果物と野菜をもっと食べるよう推奨するメッセージが盛り込まれている。

日本でも、タバコの箱に警告が書いてあることはおなじみだ。毒性のある煙が体の健康を害するように、移動による炭素排出は地球環境を害している。そのような連想も喚起されるのではないだろうか。

フランスのバーバラ・ポンピリ生態系移行大臣は2021年12月、「輸送の脱炭素化は単に電気自動車に切り替えるだけではありません。可能なかぎり公共交通機関やサイクリングを利用することでもあります。」とツイートしている。

 現在、ヨーロッパでは日本以上にEV(電気自動車)への移行が進んでいる。2019年に欧州を襲った熱波により、フランス国内だけでも約1,500人が命を落としたと言われ、気候変動に伴う異常気象への危機感を持っているのだ。

気候変動抑制の国際的な枠組みである「パリ協定」が採択され、パリのアンヌ・イダルゴ市長は、ディーゼル車やガソリン車を2030年までに禁止することを計画している。しかし環境対策はそれだけにとどまらない。

フランスの首都パリでは人口と交通の過密による大気汚染が懸念されており、毎年「車なしデー」を実施し、人々の意識改革を行っている。

今回の自動車広告に関する規制の背景には、市民によるロビー活動があった。環境対策に熱心な人々の気持ちが行政を動かし、法律という形で結実したのだ。これは、開かれた情報に一般市民がアクセスし、現状をしっかりと把握したことで、社会を正しい方向に動かした事例だろう。

【公式サイト】Arrêté du 28 décembre 2021 pris pour l’application de l’article D. 328-3 du code de la route
【参考サイト】Car ads in France will soon have to encourage more environmentally friendly travel
Edited by Kimika

FacebookTwitter