飲食店の廃棄米をクラフトビールに。「箔米ビール-白金-」は、食品ロスを減らすミッションだった

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飲食店で炊いたものの余ってしまったお米をクラフトビールにアップサイクルしてできた「箔米ビール-白金-」が、応援購入サイト「Makuake」にて2月23日まで先行販売されている。

1度炊いたお米をクラフトビールにアップサイクルするという今までに聞いたことのない発想がどのようにして生まれたのか。「箔米ビール-白金-」を企画販売する株式会社ジパングフードリレーションズの安藤育敏社長(アンディ社長)にお話を伺った。

”もったいない”という強い思いが食品ロス率0.01%を実現

アンディ社長が飲食店を始めたのは、今から6、7年前のこと。地元・大阪で間借りのカレー屋をオープンした。その後、“都会の真ん中で、海外のビーチ沿いのプチリラックスを味わえるジャパニーズカリーカフェ”をコンセプトとしてカレーを販売する「ジパングカリーカフェ」を手がけ、大阪を中心にフランチャイズ店を含め4店舗を展開している。

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可愛らしいクマがお出迎え

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「飲食店の世界に飛び込んで思ったのは、こんなにも食品ロスがあるんだということです」とアンディ社長は話す。

現在、日本全体で570万トンの食品ロスが問題となっており、そのうち飲食店を含む事業系食品ロス量は309万トンに上る。その量は、日本国民が毎日お茶碗一杯分の食材を捨てているのと同じ量だ。また、1つの飲食店から出る食品ロスは最終総売上の1~3%で、これは食べ残しと調理段階での仕込みの量の多さが原因といわれている

「大正生まれの祖母に育てられたせいか、“物を大切にしなければならない”、“もったいない”という気持ちが他の人よりも強かったように思います。飲食店を経営して、“まだ食べられるのに捨てられる食品をどうにかしなければならない”という使命感がありました」

そう語るアンディ社長は、食品ロスを減らすため、徹底して管理できるシステムを生み出した。

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メニューは常時30種類を超える。食材を循環することも考え、あえて増やしているという。

「ジパングカリーカフェでは、カレーの提供を数量限定にしています。結果として”早く行かないと売り切れてしまうお店”と認知され、大幅な食品ロスを防ぐことにつながっています。他にも、生野菜はその日に使う分だけを用意したり、フルーツは冷凍するなど、徹底管理しています。ときには、野菜や果物を長期保存できる画期的なフィルムであるエチレンガスシートも使用し、食品ロスがないようにします。また、新メニューの開発にあたって、例えば生のフルーツを使用する場合には、同時にジャムやソースを使うデザートも開発して、使い切れなかったフルーツを循環できるようにしています。こうした取り組みもあって、お店で出る食品ロス率は0.01%ほどまでになりました」とアンディ社長は話す。

「ただ一つ、炊いたお米だけはどうにもできなくなってしまったんです」とアンディ社長は続ける。

「新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の流行前は、余ったお米を夜の営業に回し、チャーハンカレーやライスコロッケとして提供していました。しかし、新型コロナの流行で夜の営業ができなくなり、炊いたお米が残ってしまうようになったんです」

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お店で余った廃棄炊飯米

今までお店の中で循環していた食品ロスを減らす徹底管理システムが突然機能しなくなり、コントロールできない日々にもどかしさを感じていたアンディ社長。フランチャイズ店を含め4店舗の廃棄炊飯米を目の前にして途方に暮れていたという。炊いたお米をどうにかしたいという強い思いを抱えていたなかで、ある会社との出会いにより事態が一変する。

ミッションは”捨てられるはずだったお米に箔を付ける”こと

今からおよそ1年前に、シンガポール発の食品ロスをアップサイクルするフードテック企業、CRUST JAPAN(クラストジャパン)が大阪に進出。彼らは、まだ食べられるのに捨てられるパンの耳をクラフトビールに生まれ変わらせる技術を持っていた。

右:アンディ社長、左:CRUST JAPAN株式会社 オペレーションマネージャー Josh Grengs氏

右:アンディ社長、左:CRUST JAPAN株式会社 オペレーションマネージャー Josh Grengs氏

食品ロス問題をどうにかしたいと思っていたアンディ社長はCRUST JAPANと出会い、1度炊いたお米をクラフトビールにアップサイクルする”ミッション”を持ちかける。

CRUST JAPANは2030年までに世界中の食品ロスの1%を削減し、アンディ社長は日本の廃棄炊飯米の1%を削減できたら面白いのではないかと意気投合。「日本ではアップサイクルという概念がまだまだ少ない」という気持ちが一致したことで、今回のミッションに至ったのだ。

「箔米ビール」アップサイクルの仕組み

「今回のミッションは、白いお米たちに箔がついて『箔米』にすること。食べられるはずだったお米をクラフトビールにアップサイクルして、パワーアップするイメージです」とアンディ社長は今回のプロジェクトの意気込みを語った。

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初めての醸造は2021年の11月ごろ。このプロジェクトに賛同してくれた大阪のブルワリー・上方ビールの醸造設備を借りて、CRUST JAPANとクラフトビールの醸造がスタートした。

「難しかったのは、ビール醸造に必要なホップと麦芽、今回のミッションで使用する炊いたお米の割合です。普段僕たちが食べているお米は甘くておいしいのに、ビールにすると途端に酸っぱくなったり辛くなったりします。ちょうどいいバランスを見つけるのが大変でした」とアンディ社長。試行錯誤の末、完成したクラフトビールは「箔米ビール-白金-」と名付けられ、香り高く日本食に合う味わいに仕上がった。

「おすすめは、すき焼きと一緒に飲むことです」と嬉しそうにビールについて語るアンディ社長。さまざまな料理と一緒に飲んでみたところ、すき焼きとの相性が抜群だったそう。

「すき焼きってお米が欲しくなるじゃないですか。だから、箔米ビールがとっても合うんですよ」

そう話すアンディ社長は、さらに箔米ビールのおいしさを熱弁してくれた。

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デザインは、欠けたり割れたりした食器を漆を使って修復する「金継ぎ」をイメージ

「箔米ビールは、何より香りがいいんです。香り高いカスケードホップを使用しているから、アロマのような香りが爽やかに抜けていく。料理と一緒に飲んでも邪魔をせず、むしろ味わいを引き立ててくれるんです。甘さ、酸っぱさ、辛さ、苦さ、鹹(しおから)さのバランスが良く、どんな料理にも合うビールなんですよ」

売れ過ぎてはいけない。「箔米ビール-白金-」のこれから

今回、応援購入サイト「Makuake」で箔米ビールの先行発売を行うアンディ社長。今後はどのように展開していくのだろうか。これからのことを伺った。

「あくまで食品ロスを失くすためのミッションなので、これからどうしていきたいのかということは考えていません。今回のビールは廃棄炊飯米を使うことが前提なので、廃棄炊飯米が出ないと生産体制が整わないビールです。そのため、売れすぎてはいけないんです。ただ、僕たちの一歩が広まっていけば、僕が目標としている日本の廃棄炊飯米の1%を減らせるのではないかと思っています」

「そして、捨てられるお米に箔を付けて「箔米」にしたように、箔が付いたなあという瞬間にプレゼントとして贈るビールであってほしいとも願っています。お父さんが部長に昇進したり、お子さんの成人式であったり。そういった”箔が付いた瞬間”にプレゼントできるビールが今までなかったので、そんなビールであり続けてほしいなと思います」と箔米ビールへの思いを語った。

箔米ビールの裏ラベルには、食品ロスを考えるきっかけになるメッセージも。今回のミッションがアンディ社長が目指す”日本の廃棄炊飯米の1%を減らす”世界への第一歩になることを願っている。

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今回ご紹介した「箔米ビール-白金-」は、応援購入サイト「Makuake」にて2月23日まで先行販売中。2022年3月ごろからは、ジパングカリーカフェのメニューとして提供予定だ。1度炊いたお米を使用した今までにない発想のクラフトビールを、ぜひ味わってみてはいかがだろうか。

【参照サイト】廃棄炊飯米に新たな輝きを!お米でできた『箔米クラフトビール』ついに完成!ーMakuake
【参照サイト】ジパングカリーカフェウェブサイト
【参照サイト】CRUST JAPANウェブサイト
【参照サイト】上方ビールウェブサイト
【参照サイト】食品ロス量が前年度より30万トン減少しました – 農林水産省
【参照サイト】外食・中食産業における食品ロスについて – 農林水産省

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「My Craft Beer」からの転載記事となります。

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