「女性スポーツしか映さない」バーが米国に登場。その理由は?

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現代のスポーツ界において、女性の活躍はどれほど大きく取り上げられてきただろうか。1896年のオリンピック第1回大会では、女性は出場することさえ認められなかった。しかし、その年から約125年が経った昨年の東京大会で、アスリートの男女比はほぼ半々となり、ジェンダーバランスのとれた大会となった(※1)

少しずつ女性活躍の場が増えてはいるものの、テレビで取り上げられるスポーツは未だ男性が中心となってはいないだろうか。

アメリカでは、アスリート人口の40%が女性であるにもかかわらず、テレビで放映されるスポーツメディアのうち96%が男性スポーツで、女性スポーツはたった4%だという。その点に着目したシェフのジェニー・グエン氏は、女性スポーツに特化したスポーツバー「The Sports Bra」を2022年4月1日、オレゴン州ポートランドにオープンした。

このスポーツバーは“We Support Women.”「私たちは女性を応援します」をモットーに掲げ、テレビで女性スポーツを放映するだけでなく、顧客に提供する食品や飲料類にも女性が経営するメーカーの商品を積極的に起用している。

Bra Images - Photos by Shannon Dupre  Bra Images - Photos by Shannon Dupre

Bra Images – Photos by Shannon Dupre

また、店内の机や椅子には建築を通じて女子児童を支援するNPO法人「Girls Build」に所属する女子児童が作った家具を採用するなど、スポーツ界にとどまらず、さまざまなシーンで活躍する女性を支援することを目標としているのだ。

ポートランドで生まれ育ったグエン氏は、学生時代にバスケットボールに打ち込み、プロを目指していたが、19歳の時、怪我が原因でその夢は儚く敗れた。大学に進学後、料理に目覚め、バスケットボールのコート以外に自分の居場所を見つけたという。

2020年、パンデミックで世界が混沌とする中、グエン氏は当時シェフとして働いていた会社を辞め、自身のキャリアと人生において、なにを求めているのかを改めて見直した。彼女が辿り着いた答えは、「スポーツをする少女たちの居場所を作りたい」という想いを実現することだった。

 Photos by Dorothy Wang

Photos by Dorothy Wang

「ここに来てテレビを見て、大人になってもスポーツをしたいと大きな夢を抱く女の子が一人でもいれば、それが私にとっての全てです」と彼女はKOINのインタビューに答えている。

店名の「The Sports Bra」は「The Sports Bar(スポーツバー)」の文字をひとつ入れ替えただけであり、多くの人はこの変化に気がつかないだろう。まさにこの店名には、そのような小さな変化が世の中に必要なのだというメッセージが込められている。

女性の活躍の場はかつてに比べ格段に広がっているが、完全な平等を実現するまでにはまだ少し時間がかかりそうだ。2015年に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」ことを目標としている。2030年まで残り8年。小さな変化もいつかは大きな変化につながると信じて、少しずつでも実践していくことが大切だ。

※1 スポーツとジェンダー平等
【参照サイト】 The Sports Bra
【参考サイト】 The Sports Bra, Portland’s first women’s sports bar
【参考サイト】 【東京五輪】 男女比はほぼ半々、それでも残る格差とは

Edited by Erika Tomiyama

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