性の固定観念をなくす?スウェーデンのジェンダーニュートラルな幼児教育

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SDGs進捗度ランキングをまとめたレポート「SDG INDEX(2021)」で、常に上位をマークしているスウェーデン。日本でも重要課題となっている「目標5:ジェンダー平等」において、IDEAS FOR GOODでは、同国の政治や社会参加、文化の面から格差をなくす取り組みをご紹介してきた。

今回は、そんなスウェーデンでの幼稚園の取り組みをご紹介しよう。多様なジェンダーへの理解は、小さなころから見聞きしてきた情報(メディア)や、教育、周囲の環境が鍵となるからだ。

スウェーデンの幼稚園

スウェーデンは1998年、国のカリキュラムで、すべての幼稚園が伝統的なジェンダーの役割とジェンダーのパターンを見直すこと、そして、子供たちに定型化されたジェンダーの役割を超えて探求することを義務付けた(実践方法は学校によって異なる)。

自分の性に悩む子供たちに向けた「ジェンダーアドバイザー」の設置も、学校では一般的である。

(写真はイメージ)盲導犬・補助犬を歓迎、車いす利用者の玄関・玄関ホールなどの設置もある 季節のオーガニック食材を使った食事の提供も

(写真はイメージ)盲導犬・補助犬を歓迎、車いす利用者の玄関・玄関ホールなどの設置もある 季節のオーガニック食材を使った食事の提供も

首都ストックホルムでは、「ジェンダーニュートラル」のコンセプトを掲げる「エガリア幼稚園(ラテン語で「平等」の意味)」が登場した。国の資金で運営されており、ウェイティング(予約待ち)リストができるほどの人気となっている。(出典/BBC

「尊敬」「責任」「プロ意識」がこの幼稚園のキーワードとなっており、常に子供たちが安全で幸せであることや、多くの言語を学び、人との関わりを感じ、人生のために学ぶことを大切にしている。

具体的にジェンダーニュートラルに配慮している点は、先生が「男の子」と「女の子」と言う代わりに「友達」や「名前」で呼ぶこと、与えるおもちゃをジェンダーで分けないことなど、これまでのジェンダーイメージや固定概念を生まないような工夫が実践されている。(出典/CNN

この幼稚園の実践に関する研究論文では、他の幼稚園と比べ子供たちが男女関係なく遊ぶことや、ジェンダーのイメージと人を結びつけることをしない傾向があると報告している(※1)

2012年にジェンダーに中立な代名詞「hen」がスウェーデン文化で主流化し、教育だけでなく、政策、経済、文化においてもジェンダー意識が高まっている。日本でも取り入れられるものはありそうだ。

※1 A Study of Education Practice on Gender Neutral Pedagogy: Egalia
【参照サイト】Preschools in the City of Stockholm
【参照サイト】スウェーデン政府
【参照サイト】Sweden gender neutral preschools
Edited by Kimika

寄稿者プロフィール:松尾沙織(まつお・さおり)

ライター・ファシリテーター。震災をきっかけに社会の持続可能性に疑問を持ったことから、現在はフリーランスのライターとしてさまざまなメディアで「SDGs」や「サステナビリティ」を紹介する記事を執筆。SDGsグループ「ACT SDGs」立ち上げる他、登壇、SDGs講座コーディネートも行う。また「パワーシフトアンバサダー」プロジェクトを立ち上げ、気候変動やエネルギーの問題やアクションを広める活動もしている。

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