フランスのスーパーに導入された「旬の野菜かどうか」を知れるバロメーター

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「今、旬の野菜は?」そう聞かれて、あなたはいくつの野菜を思い浮かべることができるだろうか。

農業技術の発展により、季節に関係なく採れる食材が増えたことで、食材の旬を意識する機会は昔に比べて大きく減ってしまった。年中品揃えの変わらないスーパーの食材売り場では、どの食材が旬なのかを知る術は今やほとんどない。

それでもやはり、食材が最も美味しくなるのは旬の時期だ。また、「初物七十五日(初物を食べると寿命が七十五日延びる)」という古いことわざがあるように、旬の食材は栄養価の点でも優れている。

日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、例えばほうれん草の場合は、旬の冬に採れたものと旬ではない夏に採れたものを比べると、ビタミンCの含有量に約3倍もの差があるという。

そんな、現代では馴染みが薄くなってしまった「旬」を生活者に伝えるための新たな取り組みが、フランスで始まった。フランスでスーパーマーケット事業を展開するカジノグループが、「季節の始まりたて/終わりかけ」「旬ど真ん中」「季節外れ」の3段階で、果物と野菜の旬の度合いを表すバロメーターを導入すると発表したのだ。

同バロメーターはカジノグループのスーパー全店舗で適用され、最初は27種類の果物と野菜が対象になるという。

カジノグループのゼネラルマネージャーであるティナ・シューラ―氏によると、こうしたバロメーターの導入は、顧客の啓蒙も目的にしているという。バロメーターを設けて旬を意識した買い物を促進することで、以下のような点を重視して食材選びをする顧客の増加が期待できるのだ。

  • 美味しくて栄養価の高い食材を楽しむこと
  • 食糧生産における環境への負荷を最小限に抑えること
  • 国内産の食材を優先して購入すること
  • ただ安価な品ではなく、コストパフォーマンスの高い品を選ぶこと

同氏は、現地メディアThe Good.frに対して「旬の度合いを表すバロメーターは、顧客にとって分かりやすいよう、シンプルさを重視して設計しました。私たちには、持続可能な食品を奨励する責任があるのです」と語っている。

旬の野菜を選ぶことは、環境負荷の低減にもつながる。夏野菜を季節外れの秋や冬に育てるには、ヒーターを使わねばならず、より多くのエネルギーを消費したり、1年中同じものを食べるために野菜や果物を遠くから輸入していたりしたからだ。

このような旬を表すバロメーターの導入は日本のスーパーではまだ行われていないが、フランスのスーパーで実現可能ということが証明されたのは大きい。美味しく栄養価の高い食材を選ぶことができ、更には環境負荷も抑えられる──旬を意識することには、多くのメリットがある。これを機に、皆さんも旬を意識した食材選びをしてみてはいかがだろうか。

【参照サイト】 Enseignes Casino – Twitter
【参照サイト】 Casino lance son baromètre de saisonnalité au rayon fruits et légumes – TheGood
Edited by Kimika

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