セサミストリートに学ぶ、「多様」なキャラクター登場の大切さ

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ユニセフが2021年に発表した報告書によると、世界には障害のある子どもが約2億4千万人いると推定されている。また、世界の子どもと若者の10人に1人に障害があるとも言われている(※1)

アニメ、教育番組、バラエティなど、子どもたちはさまざまなテレビ番組を見る。それらの番組の中に、困難な状況にある世界の子どもたちが、自分の経験と重ねて見ることができるキャラクターは、どれくらい登場しているだろうか。

1969年に始まり、今では150以上の国と地域の子どもたちに届けられているテレビ番組「セサミストリート」は、放送開始当初から、「人々が多様性を理解し、尊重できる社会にしたい」という想いを持ち、多様な個性や背景を持つキャラクターを登場させてきた。

たとえば2022年3月には、アラビア語版のセサミストリート「Ahlan Simsim」に、身体障害を持つ新しいキャラクター「アミーラ」が加わると発表された。

Image via Sesame Workshop

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アミーラは8歳の女の子で、好きなものは科学とバスケットボールだ。脊髄損傷を負っており、移動の際には車いすや杖を使う。新しい友達をつくることが好きで、ユーモアのセンスが抜群だという。

セサミストリートには、この他にも、自閉症の特性を持つジュリア、ホームレスを経験したリリー、HIV陽性のカミ、服役中の父親を持つアレックス、黒人のウェスリーなどが登場してきた。

長年にわたって多様性を尊重してきた同番組は、魅力的なキャラクターを丁寧に作っている。アミーラのキャラクター開発に費やした月日は、2年以上。セサミストリートを制作する米NPOのセサミワークショップは、プレスリリースで、「ユーモアに富んだアミーラは、子どもたちの好奇心をそそり、彼らに自信を与える存在となるだろう」と述べている。

あなたが、自分のアイデンティティに対して生きづらさを感じていたり、苦しみを抱えていたりするとき、寓話の世界の中で、どのようなキャラクターに出会いたいだろうか。

私たちが、世界を肯定的に捉えられるようになるまでには、複数の出来事が積み重なっているものだ。キャラクターだけでなく、この過程をうまく織り込んだストーリーが、多くの番組で描かれるといい。

※1 障がいのある子どもたち:教育を含むあらゆる場面で不利な状況~社会へのインクルージョン実現に向けて【プレスリリース】|公益財団法人日本ユニセフ協会のプレスリリース
【参照サイト】Sesame Workshop Debuts New Muppet as Part of Initiative Supporting Children Affected by Conflict and Crisis | Sesame Workshop
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