男性の家庭での活躍を応援。結婚時に「家事の公平な分担」を誓う契約書

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男性の家庭参画を強力に推進するには、どうすればいいだろうか。

内閣府の2022年の報告によると、男女とも若い世代ほど、「家事を配偶者と半分ずつ分担したい」と考える人が多い。たとえば、20~30代の男性の70%以上が、家事を配偶者と半分ずつ分担することを希望している(※1)

その一方で、女性が男性の2倍以上、家事や育児をする傾向は続いているという。この状況を変えるために、行政機関や企業ができることは多くあるだろうが、夫婦自らが思い切った決断をすることも大切かもしれない。

米家電メーカー大手のWhirlpoolはブラジルで、「結婚する際に、家事を配偶者と半分ずつ分担すると約束する婚前契約書を作ろう」と呼びかけるキャンペーンを実施した。

「婚前契約書」という言葉には、馴染みがない人が多いかもしれない。これは、家計管理や離婚に至った場合のことなど、結婚前に決めておきたい内容を記すことができる契約書だ。

「The Fairest Prenup(最も公平な婚前契約書)」と名付けられた、Whirlpoolの契約書に記載されている項目は、「汚れた服を洗濯かごに入れること」「シーツをたたむこと」「製氷皿に水を入れること」「トイレットペーパーを補充すること」「ペットの世話をすること」などさまざまだ。


SNSなどでよく見かける家事の不満をもとに、項目を盛り込んでいるという。積み重なると負担になる小さな家事が並ぶ、ユニークな契約書だ。

さらにユニークなのは、この契約書がWhirlpoolの広告という形をとり、ウェディング関連の雑誌やウェブサイトに掲載されたり、ウェディングドレスショップの壁に貼られたりしたことだ。婚姻届を提出する役所にも契約書を置き、届出人がその場で署名できるようにした。捨てずにとっておきたくなる、優れた広告ではないだろうか。

結婚するときはテンションが上がり、結婚生活の細々したことを考えようとは思わないかもしれない。しかし、なるべく穏やかな生活を送るために、家事などに関する認識をすり合わせておくことは大切ではないだろうか。The Fairest Prenupは、互いの価値観を知る良いきっかけになりそうだ。

幸せな気持ちでウェディングドレスを試着したり、ウェディング雑誌をめくったりしているときに、急に現実に引き戻される婚前契約書を見ると、ギクッとするかもしれない。そういうちょっとしたホラー感も、この広告の魅力だと感じる。

※1 男性の家庭・地域社会における活躍について
【参照サイト】Brastemp | Sem dúvida, Brastemp
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