「しっかり寝ることが、気候変動を食い止める」研究に注目

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仕事が毎日忙しい。睡眠不足に悩まされている……。こんな方も多いのではないだろうか。日本人の睡眠時間は平均6~7時間未満で、これは世界トップレベルのショートスリーパーであるといえる。

しかし、働きすぎや睡眠不足は環境負荷を増やすという研究成果がある。地球のためにもっと寝よう、もっと怠けようというのだ。

睡眠は、人間の活動のなかで最も地球にやさしい──個人の様々な活動のCO2排出量を調査したオーストリアの研究チームはこう明らかにしている。レストランに外食に行けば、ゴロ寝しているよりも、20倍ものCO2を排出してしまうのだから。

とはいえ、ずっと寝ているというわけにもいかないだろう。労働については、こんな試算もある。スウェーデンの研究チームによれば、労働時間をたった1%減らすだけでも、年間0.8%のCO2排出削減につながるという。また、先進国が労働時間を10%短縮できれば、14%のCO2排出削減を達成できるという研究も出ている。オフィスビルの照明、空調、コンピューターの電源などの電気の過剰な使用や自動車による通勤などで排出されるCO2を減らせるからだ。

さらに、週休3日制の導入を目指す非営利団体、4Day Week Campaignによれば、英国で週休3日制を導入すれば、年間1億2,700万トンのCO2排出削減につながるとしている。これは、2,700万台の自動車が1年間に出すCO2の量に相当し、英国全体の自家用車数に匹敵するというのである。各国で週休3日制の導入が進めば、過剰なストレスから解放されてラクになる人が増えるだけではなく、環境に貢献できる可能性もかなり大きい。

実際に、2020年初頭にコロナ禍によるロックダウンが各国で相次いだときに、世界のCO2排出量は5.4%減少したと報告されている。地球が人類の活動によって左右されていることは、まぎれもない事実だ。

「働かざる者食うべからず」という言葉が使われるように、私たちの社会は、勤勉さを美徳としてきた。しかしその勤勉さを追求し続けるだけでは、もはや地球のためにならない。しっかり寝て、休息を取ることで自分自身に心の余裕ができ、それは地球に想いを馳せるきっかけにもなりうる。多様な働き方を認め、ゴロゴロする権利を主張するのは悪いことではない。さあ、今日は早めに明かりを落として寝るとしよう。

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【参照サイト】厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
【参照サイト】4DAY WEEK公式サイト
【参照サイト】Time Matters: The Carbon Footprint of Everyday Activities in Austria
【参照サイト】Would shorter working time reduce greenhouse gas emissions? An analysis of time use and consumption in Swedish households
【参照サイト】Emission Reductions From Pandemic Had Unexpected Effects on Atmosphere
【参照サイト】Hit the Snooze Button if You Want to Save the Planet

Edited by Erika Tomiyama

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