薬の時間が楽しい演奏タイムに。喘息の子どものための楽器風吸引器「Oplay」

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子どもの患者数が多い、喘息。喘息の子どもたちは、吸入器による薬の吸入を余儀なくされる。だが、遊びたい盛りの子どもにとって、頻繁な薬の吸入は決して楽しい体験とは言えないだろう。

「喘息の治療プロセスをもっと楽しい体験にできないか?」

そんな想いで立ち上がったのが、中国・江南大学のデザイナーチームだ。彼らは喘息に悩む子どもたちのための楽器をモチーフにしたデバイス「OPlay」を開発。喘息スペーサー(吸入器から噴霧される薬剤を投与しやすくする装置)とピークフロー測定(ユーザーがどれくらい速く肺から空気を吐き出せるかをモニタリングする装置)の2つの機能を持っているこちらは、子どもがデバイスを操作すると、その動作を感知して音楽が流れる仕組みになっている。例えば、子どもが薬を吸入するのに合わせて管楽器の音が流れたり、本体を振ることでマラカスの音がしたりするという具合だ。

OPlay

Image via Jinxuan Yang

OPlay

Image via Jinxuan Yang

また、ピークフロー測定の結果を簡単に記録、モニタリングすることができるようアプリも同時に開発している。適切な投薬とモニタリングをきちんと続けることで、ユーザーがアプリ上でより多くの楽器と楽曲のロックを解除できるようになっているのもポイントだ。

OPlay

Image via Jinxuan Yang

OPlayは、投薬・検査・記録をシームレスにし、子どもたちが自身で治療習慣を身につけられるようにすることを目指している。その開発のきっかけは、喘息の頻繁な投薬や治療などによって、子どもたちが他の子どもたちとは別の行動を強いられたり、外で緊張してストレスを感じたりすることで自分の状態を恨んでしまっている状況を知ったからだったという。

何かできないかと考え、喘息の治療のメカニズムを研究し、ブレインストームを重ねているうちに、ハーモニカの演奏と吸入器による薬の投与が似ていることに気づいたデザインチーム。そのアイデアをもとにして、楽器のようなデバイス「OPlay」が完成したのであった。

デザイナーは、「(喘息のモニタリングのプロセスを)楽しくて音楽的なものに変えることで、子どもたちが自分自身を受け入れ、自信を持てるようにするだけでなく、良い投薬と測定習慣を身につけられるようにすることを目指しています」と語っている。

薬の吸入器と楽器という、通常では混ざり合わない2つの組み合わせが化学反応を起こし誕生した素敵なデバイス。アイデア一つで苦い時間を楽しいものへと塗り替えるデザイナーたちのフレキシブルな発想を見習いたい。

【参照サイト】OPlay – A Medical Product for Children with Asthma – by Jieying Mo / Core77 Design Awards
【参照サイト】The OPlay turns asthma into a musical experience – DesignWanted

Edited by Yuka Kihara

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