「悲しいならクッキーを食べて」子どもアドバイザーが元気をくれるホットライン

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将来さらに大きな被害が予想される気候変動、終わりが見えないパンデミック、隣国で始まってしまった軍事侵攻……。自身が乗り越えていかなければならない日常の課題に加えて、さまざまなメディアで目にする暗いニュースに、思わず気が滅入りそうになっている人も多いのではないだろうか。

そんな中、アメリカのカリフォルニアで開設されたとある無料のホットラインが人々の心に癒しを与えているという。それが、子どもたちが心に寄り添ってくれるホットライン・Peptocである。このホットラインに電話をかけると、子どもたちの元気な声で録音されたアドバイスを聞くことができるのだ。

電話をかけると、まず流れてくるのはこんなアナウンスだ。

「もし怒っていたり、イラッとしてしまったり、緊張したりしているなら、1番を押してね。もし鼓舞する言葉や人生のアドバイスが欲しいなら2番を押してね。もし幼稚園生からの応援の言葉が必要なら3番を押してね。もし子どもが思いっきり笑っているのを聞きたかったら、4番を押してね」

1番を選択すると下記のようなアドバイスを受けることができる。

「緊張しちゃったら、財布を持ってアイスクリームと靴を買いに行ってね」
「何かにイライラしちゃったら、いつでもベッドルームに行って枕をパンチしてもいいし、泣いてもいいし、外で叫んでもいいよ!」
「悲しいのなら、クッキーやスムージー、アイスを食べてね」

なんともかわいらしく、確かにそんなことをしてみても良いかもと思えるアドバイスだ。

このホットラインは、幼稚園生から小学校6年生までの141人が在籍しているカリフォルニアの小さな学校で行われたもので、小学校で美術を教えているジェシカとアシェラーによって起案されたアートプロジェクトだ。プロジェクトでは、子どもたちに、「世界にいる人を元気付けるためにどんな言葉をかけたいか」「自身が落ち込んでしまった時にどんな言葉が助けになるか」を考えてもらったのだという。

また、このプロジェクトでは、子どもたちの手描きのポスターを街中に貼る試みも行われた。それぞれのポスターは、励ましの言葉や立ち直る言葉をテーマに、子どもたちが作成したものだ。ポスターには、カットできるチケットがついており、通りすがった人はそのチケットを切って、ホットラインの電話番号を持ち帰ることができるようになっている。

例えば「希望はあるよ、一つ持っていって」というポスターには「希望」と書かれたチケットが付いていたり、「怒っているなら、3回深呼吸して」というポスターには「3回深呼吸」と書かれたチケットが付いていたりと、そのデザインは多種多様である。

Peptocは、稼働開始後から口コミで話題となり、開始から3週間で400万件以上の電話を受けた。1時間に数千件の電話を受けるほどの人気ぶりのため、ホットラインの選択肢に「寄付」を追加するなどして今後もプロジェクトを継続できるよう準備を進めている。今後数ヶ月で、新しいメッセージも追加されるなど、ホットラインは寄付によってさらにアップデートされる予定だ。

子どもたちの真心やまっすぐなアドバイスは、今を生きる多くの人々に勇気と希望を与えている。日本からのこのホットラインに電話をかけるのは難しいかもしれないが、代わりに、童心に帰って「子どものときの自分なら今の自分にどんなアドバイスを贈るか」を考えてみるのも良いかもしれない。

【参照サイト】WEST SIDE ARTS PROGRAM
【参照サイト】Peptoc Hotline(GoFund Me)
【参照サイト】‘If you’re sad, get a cookie’: how US schoolkids launched a hotline to spread joy(The Guradian)
【参照サイト】Benefield: Need an immediate pick-me-up? Call this number to hear advice from Healdsburg students(Press democrat)
【関連ページ】子どもたちが大気汚染と戦う「ヒーロー」に。空気を綺麗にする通学用マント

Edited by Yuka Kihara

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