ブラジルの女性たちがつくる「たった一つの単語」のための辞書

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「sisterhood(シスターフッド)」

日本語で「女性同士の連帯」を意味する英単語。性別にとらわれた役割から脱却し、自己実現を望む女性にとって重要な言葉として、近年注目されている言葉だ。しかし、ポルトガル語でシスターフッドを意味する「sororidade」は、実は多くの辞書に載っていないという。

ジェンダー平等実現のカギを握るであろうこの言葉が辞書に載っていない──そのことに危機感を覚えたアメリカの大手チョコレートメーカー・Hershey’s(ハーシーズ)は、ある取り組みを始めた。それが、「sororidade」というたった一つの単語だけのための辞書「One-Word Dictionary」を制作するというものだ。

「HER FOR SHE」と呼ばれるこのプロジェクトは、女性が女性の才能を応援するために行われている。辞書の制作には、アーティストや作家、イラストレーターなどとして活動する女性たちが参加し、一人ひとりがそれぞれにとっての「シスターフッド」について執筆した。

さらに、同プロジェクトでは、色鮮やかな異なるデザインが施されたパッケージのチョコレートバーも販売。袋にプリントされたQRコードを読み取ると、多様な場面で活躍する女性たちのストーリーを知ることができる仕組みになっている。パッケージには、起業家、サイエンティスト、アーティスト、音楽家、活動家、スポーツ選手など、さまざまなの女性たちの姿が描かれている。

今回の取り組みの中心であるシスターフッドは、1960年〜1980年代にアメリカから始まった女性解放運動「ウーマンリブ」時代に誕生した言葉だ。家父長制への反対を示すためにデモや会合などを開き、女性たちが強い連帯感を生み出していた。

また、1975年には、職場における男女差別を訴えるために、ヨーロッパのアイルランド国内の女性の90%がストライキを起こし、同国は現在、ジェンダーギャップが世界で最も少ない国として知られる。現代は、SNSを駆使したフェミニズム活動を目にすることも多く、2017年には女性たちがセクハラなどを「私も」と訴える、#MeToo運動がきっかけで女性たちの性被害が明るみになってきた。

シスターフッドで結ばれた女性たちが社会を大きく動かしてきたように、今を生きる女性たちにも連帯と行動が求められている。チョコレートメーカーが取り組むように、アイデア次第では個人としても企業としても、今よりもっと良い社会を描いていけるのではないだろうか。

※1 UN WOMEN Brasil

【参照サイト】HERSHEY’S HER FOR SHE
【参照サイト】Hershey’s Brasil
【参照サイト】UN WOMEN Brazil
【参照サイト】WORLD ECONOMIC FORUM Global Gender Gap Report 2021 INSIGHT REPORT MARCH 2021
【参照サイト】SDGs-世界で一番ジェンダー平等の国=アイスランドのお話
Edited by Tomoko Ito

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