歩きスマホをテクノロジーで解決?香港の「地面に映る赤信号」

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駅のホームや道路などで見かける歩きスマホ。自分自身がしてしまうかもしれないし、他の人を見て「危ない」と感じることもあるかもしれない。

アメリカの州知事幹線道路安全協会は、2016年の歩行者の死者数が約6千人だったと推計しており、その原因のひとつとして、スマートフォンの使用による注意力の低下を指摘している(※1)

世界各地で問題視される、歩きスマホによる事故を防ぐアイデアはないだろうか。

香港の運輸署は2022年7月、歩行者が赤信号で横断歩道を渡らないよう、横断歩道の待機場所を赤くライトアップし、歩行者の気づきを促す取り組みを始めた。歩きスマホをして下を向いている人でも、道やスマートフォンが反射する赤い光を見たら、我に返って立ち止まりそうだ。

Image via Transport Department

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待機場所を赤くライトアップするLEDライトは、延長アームを使って信号機に水平に取り付けられている。青信号のときは、LEDライトは点灯しない。LEDライトは、あくまでも信号機の役割を補佐する装置であり、信号機を代替するものではないという。

Image via Transport Department

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2022年9月現在、この装置は、香港のウォータールー・ロードやパーシバル・ストリートなどにある7か所の横断歩道で、試験的に導入されている。運輸署は、6か月のトライアル期間を終えた後に装置の有効性を検証し、その後の方向性を検討するそうだ。

この取り組みに対する、市民の意見はさまざまだ。NBCニュースでは、「面白い取り組みで、歩きスマホをしているときに役立ちそう」「言われるまで、ライトアップに気づかなかった」「ライトアップは役立つかもしれないが、混雑した街では、狭い歩道など他の安全上の課題もある」といったコメントが紹介されている。

歩きスマホをやめるよう注意喚起を行うことは大切だが、「注意しても変わらない人はいる」という前提のもと、テクノロジーによって安心・安全な社会をつくる工夫も必要なのかもしれない。

香港の取り組みについて、あなたはどう思うだろうか。

※1 Pedestrian Traffic Fatalities by State: 2016 Preliminary Data | GHSA
【参照サイト】Transport Department – Trial of Auxiliary Devices to Enhance Pedestrians’ Safety at Road Crossings
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