富山市に2022年9月23日にオープンした「トトン」は、「サステナビリティ」や「サーキュラーエコノミー」をテーマにしつつも、地元のいいモノを取り入れた複合施設だ。
今回は、オープン前日の内覧会に行ってきた時の様子をレポートする。
6つのエリアで構成されたサステナブル複合施設
「トトン」がある場所は、富山駅から車で12分ほどの「問屋町」という、名前から想像がつくとおり倉庫が並ぶエリア。施設は、富家具・インテリアの販売を手掛ける株式会社米三(コメサン)の2階建ての倉庫をリノベーションして作られた、とても広く、開放的な雰囲気の施設である。
施設内は、マテリアルライブラリー、サーキュラーショップ、リペア・DIYスペース、コワーキングフロア、フォトスタジオ、カフェの6つのエリアで構成されている。ここから、それぞれのエリアの魅力を写真と共に紹介する。
01. アップサイクルのアイデアの宝庫「マテリアルライブラリー」
入口を入ってすぐ左側には「マテリアルライブラリー」。ここには北陸を中心とした企業が持つ端材などが展示されており「これはアップサイクルに使えるかも」と気になる素材があったら、繋ぐことも可能とのこと。
02. 北陸発のアップサイクル品もある「サーキュラーショップ」
「サーキュラーショップ」は、トトンのバイヤーが独自の目線で選んだサステナブルなアイテムが並ぶショップスペース。端材や廃材などをアップサイクルして作ったバッグやアクセサリー、食器などが置かれている。
草木からつくられる釉薬をつかい作陶する、百六十年の伝統を持つ三助焼は、富山県砺波市の伝統工芸の一つだ。トトンでは、三助焼の中でも妙薬がうまくのらなかったり、少しだけかけたり、といった理由で売り物にされなかった焼き物に手を入れて、トトンのロゴが入ったオリジナル品として販売。草木が醸し出す独特の色あいに、一目で心を奪われてしまった。
また、福井県の鯖江市は、メガネの産地。なるべくごみは出さないようにしているものの、どうしてもメガネのフレームの材料の端材が出てしまうそう。「捨てるのはもったいない」ということで作られているのが、端材を加工したアクセサリーである。
材料となる、メガネの端材の一例
03. 自由に楽しめる「リペア・DIYスペース」
サーキュラーショップの奥には、回収した家具をばらした部品や端材などを使ってDIYができる「リペア・DIYスペース」がある。工具や機材も完備されており、材料を持ち込むことも可能だ。また、家具職人が常駐しているので相談も可能。当面は予約制なので、詳しくはウェブサイトをチェックしてみるといいだろう。
04. アップサイクル家具が並ぶ「コワーキングフロア」
2階に上がってすぐのスペースにあるのは、広い「コワーキングフロア」。Wi-Fiや電源、コピー機も完備されている。利用時間は、会員は7:00〜18:30、非会員は10:30~18:30だそう。
並んでいるのは、アップサイクルされた独創的な家具ばかり。ここで作業をしたら、新しいアイデアがムクムク浮かんできそうだ。会員制プランのほか、一般の一時利用も可能だという。
このエリアには、イベントスペースも。
トトンの立ち上げに参加している、富山で和箪笥のアップサイクルを行う「家’s」の伊藤さんのお気に入りは、イベントスペースに腰かけた時に見える、この風景だそうだ。天井からの光と緑の色彩が心地よい空間になっている。
05. ここならではの雰囲気で写真撮影ができる「フォトスタジオ」
コワーキングフロアの奥には、プロのカメラマンが常駐するフォトスタジオがある。事前予約することで、カメラ機材を含めスタジオの利用が可能。プロのフォトグラファーが常駐している。
06. 富山のおいしいものを朝から満喫!「トトンKITCHEN」
同じく2階にある「トトンKITCHEN」は、午前7時から「朝食倶楽部」として営業しているカフェ食堂だ。イチオシのメニューは、富山県魚津市の老舗料亭「浜多屋」のシェフがプロデュースしている、トトンの朝定食。メインの焼き魚は富山で水揚げされた魚を使用し、副菜にも県産野菜をふんだんに使うなど、地産地消を意識した献立となっている。
器やお盆にもサステナビリティへの配慮がされ、B品(訳あり商品)やデッドストック品、端材を使い職人さんが作ったお盆が使われています。
昼は地元の老舗焼き肉店が本気で作るハンバーグと本格コーヒーを出す店になる予定。食品ロス削減を意識したメニューも開発中だとのこと。
トトンは、富山の老舗家具屋である米三が、家具屋として直面してきたゴミ問題への解決策を考える中で生まれた施設だ。そのため「捨てる」考えを捨てさせてくれるようなアイデアが詰まった場所になっている。
【参照サイト】トトン
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※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Life Hugger」からの転載記事を一部改編しております。