ショッピングカートが車椅子に変身。タイの貧困層に届いたDIYアイデア

2019.03.11

Yakuta

急速に高齢化が進む日本。そんな日本の後を追うように、人口約7千万人のタイでも、すでに高齢化が始まっている。タイの経済は東南アジアを牽引するまでには成長しているものの、タイと比較して一人あたりのGDPがはるかに高い先進国と同じ課題に取り組まなくてはいけないと考えると、状況は厳しい。いまも国内の貧富の差は激しく、数百万人規模の貧困層が暮らしている。

日々の生活が苦しいことに加え、体も不自由となれば、仕事もできずに、経済状況はさらに悪化する。介護器具は到底手に届かず、車椅子さえもなく不自由―そのような生活を送る人々が、タイには8万人以上もいるという。

そこで動いたのが、タイの大手スーパーマーケットチェーンTesco Lotusだ。子供のころ、家族で買い物をした際に、ショッピングカートに乗った記憶はないだろうか。同社はそこに着目し、店舗に大量にあるショッピングカートを改造することで、安価に車椅子をつくることを可能にした。

ショッピングカート車椅子

まずカートの前側の金属部分を切り取り、座れるようにする。側面は半分ほど残して体が倒れないようにし、かごを折り曲げて腕置きにする。切り取った部分からフットレストをつくり、安全強化のためにブレーキを設置。座布団のようなクッションを置けばできあがりだ。

Tesco Lotusは自家製のカート車椅子を貧困地域の人々に贈り、また、そのカート車椅子をDIYでつくる方法も動画に撮ってインターネットで公開。親戚や近所に器用な人がいれば、お金をほとんどかけずに車椅子を手に入れる方法を提案した。この広告は、タイ国内で大きな反響を得たという。

ショッピングカート車椅子

貧困生活を送る人や、身体が不自由な人は、世界中に存在する。タイにとどまらず、車椅子を必要とする困窮した人々がモビリティを手にする、よいアイデアの一つと言えよう。

ショッピングカートを置くスーパーマーケットは、当然Tesco Lotusだけではない。世界中の多くのスーパーマーケットが買い物客の利便性を高めるために使用しており、持ち出されないようにコインを入れるものや、バーがついているものもある。

世界を見渡すと、繰り返し使えるエコバッグをレジで販売していることは珍しくない。今回の例のように、社会のためになるカートの2次的な利用法が提案されているのであれば、今後はカートを安価で購入できるスーパーがあってもいいのではないだろうか。

この記事を書いたライター

Yakuta

Yakuta

少年時代を日本で過ごす。怖いもの見たさに単身、世界に飛び出し、各地で面白そうなことには、なんでも首を突っ込みながら今日に至る。メディア、リサーチ、マーケティング、広告、スポーツ、エンタメ、IT、クリエーティヴ系など、様々なプロジェクトに参画する傍ら、社会貢献活動にも携わる。