「地球環境を守るために、自分にできることをやろう」と本気になるのは、どんなときだろうか。もしかしたらそれは、自分の子どもから力強いメッセージを受け取ったときかもしれない。
2022年、インドの千人の子どもたちが、大気汚染物質から作られた鉛筆「Pollution Capture Pencils」を使い、大人に手紙を書くキャンペーンが実施された。鉛筆は、学校に設置した空気清浄機の残留物に、黒鉛を混ぜて作られている。
世界保健機関(WHO)によると、世界の15歳未満の子どもの約93%が、有害な大気汚染に晒されているという(※1)。インドでも、屋外だけでなく、学校など屋内の空気汚染が深刻だ。もし手紙を受け取ったら、自分の子どもがそのような場所で過ごしていることに、ふと危機感を覚えるのではないだろうか。
キャンペーン動画では、子どもが手紙に「新しい靴を履いて外に遊びに行けない」「私が空気清浄機をつけているか、いつも心配して確認しているね」「外の空気が汚れているから、学校に行きたいのにオンライン授業になってしまう」といったことをPollution Capture Pencilsで書き、家族に手紙を渡す。同国の大気汚染の深刻さが伝わってくるシーンだ。
動画ではさらに、子どもが家族に、「私たちがきれいな空気を吸えるように、小さなアクションを起こしてほしい」と伝えるシーンが続く。植林活動に参加したり、電車や徒歩で移動したりと、環境に配慮した行動を取るきっかけになりそうだ。
Pollution Capture Pencilsによって、自らの行動の必要性を自覚するのは、大人だけではないだろう。鉛筆を受け取った子どもは、それを使って、自分がつくりたい未来を紙に描くことができる。鉛筆は、子どもが大気汚染という課題を知るきっかけにもなりそうだ。
生まれ育った地域の大気環境を意識しないまま、健康被害を受けている子どもがいるかもしれない。そういう子どもたちに、実情を分かりやすく伝えることが、大切ではないだろうか。
※1 More than 90% of the world’s children breathe toxic air every day
【参照サイト】Pollution Capture Pencils
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