ブラジルの受刑者が社会復帰への道を探せる「食品ロス工場」とは?

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世界各地で、フードバンクの活動が行われている。

なかでも南米ブラジルは貧富の差が激しく、フードバンクが重要な役割をはたしている国の一つだ。FAO(国連食糧農業機関)の報告によると、ブラジル国内の約1,500万人の国民が、食事のままならない飢えた状況におかれているという。

そこで同国のパラナ州が始めたのは、フードバンクも含めた食事の支援活動「Programa Comida Boa(プログラマ・コミーダ・ボア/質の良い食事計画)」だ。

市場などで廃棄される野菜や果物のうち、状態が良いものを加工し(冷凍野菜・ソース、ピューレ、コンポート、ジャム等)、低所得の家庭、病院、医療施設等に寄付している。これによって、年間約400トンの廃棄食材が救われている。2022年は、同州内の269世帯と330機関や団体に加工された食品6,000トンが提供され、毎月約130万人がその恩恵を得ていた。

このパラナ州のフードバンク活動で注目する点は、州内の警察機関と連携して、受刑者たちに加工工場で働く機会を提供していることである。ブラジルの犯罪率は、日本と比較して桁外れに高い上、刑期を終えても社会復帰がうまくできず再犯を犯す悪循環が生まれているのが現状だ。刑期を終えた受刑者が社会復帰できる環境作りは、治安改善のための重要な課題である。

この「フードバンク加工工場」は、受刑者たちが働いて賃金を稼ぐだけではなく、食品についての知識や加工技術を身につける場を提供している。そうして、受刑者たちの社会復帰がしやすくなることを目的にしている。

州の報告によると、実際、このプログラムを受けた受刑者のうち68%が食品関係業界で正規に雇用されているという。

「受刑者の雇用機会」というのは、各国共通の課題でもある。今回紹介した取組み以外にも、これまでに世界中で行われている活動を紹介した記事があるので、下記関連記事もぜひチェックしていただきたい。

刑期を終えた受刑者をその後もずっと犯罪者として見続けはじき出すのではなく、私たち社会が彼らを受け入れ居場所を作るということも大きなテーマのひとつである。

【参照サイト】Paraná cria programa para reaproveitar alimentos bons para consumo que iriam parar no lixo
【参照サイト】Paraná cria programa para reaproveitar comida boa para consumo, mas que iria parar no lixo
【参照サイト】Ceasa de Londrina tem Banco de Alimentos renovado e passa pela maior reforma da história
【関連記事】元受刑者を積極採用。チャットツールSlackが始めた「機会の平等」プログラム
【関連記事】コーヒーを通じて再犯率を減らす、英国の「刑務所」カフェ
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Edited by Kimika

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