ギリシャ政府が重要視する、若者たちの「声にならない声」とは

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選挙の候補者が街頭演説をしているのを見て、気になりつつも、素早く通り過ぎた経験はないだろうか。なんとなく遠ざけてしまうのは、今そんな場合ではなかったり、聞きたい話をしているわけではないと感じていたりするからかもしれない。

ギリシャのCentral Union of Municipalities of Greece(ギリシャ自治体連合)は2023年3月、15~29歳の若者を政策の中心に据えた国内自治体を表彰する制度「National Youth Capital(全国若者の街)」を導入すると発表した。第1回目に受賞するまち・自治体は、2024年に発表される予定だ。

制度の目的は、若者が政治参加したくなる環境を整え、若者と政治の距離を縮めることだ。2023年時点で、若者の就業率が上昇傾向にあるが、他のOECD加盟国には遅れをとっているギリシャ。若者が政治に期待することは、いろいろありそうだ。

トリカラ県の市長であり、ギリシャ自治体連合の代表も務めるディミトリス・パパステルギオウ氏は、ニュースリリースで次のように語っている。

「若い男性がヘッドホンで何かを聴きながら、楽しそうにしていました。その様子を見て、私が何を話せば彼が喜ぶか、考えました。彼は、遊び場が整っていないことの言い訳や、政治家同士の言い争いを聞きたいのでしょうか。

『あなたが政治家と話し合って、合意した内容は、実行に移すことができます』『あなたの提案のおかげで、街として進化することができます』彼らは、こういうことを聞きたいのではないでしょうか。」

「私が考えるスマートシティとは、技術を活用する街のことではなく、人々が感じて、聞いて、呼応し合う街のことです。私たちは、最も生き生きしていると同時に、政治に対しては大人しくもある若者たちの声を聞きながら、街づくりをしないといけません。ヨーロッパの街は、若者が望むからこそ、存在し続けることができるのです。」

政治家が「若者は何を聞きたいだろう」と考え、「私も若者の声を聞く」と伝えている点が印象的だ。政治家が考える“社会課題”や“明るい未来像”を、一方的に話すだけでは、気持ちがすれ違うことがあるのではないだろうか。

私たち市民も、政治家との上手い付き合い方を模索してみても良いかもしれない。

【参照サイト】Δημήτρης Παπαστεργίου: Οι πόλεις μας πρέπει να ακούσουν περισσότερο τις νέες και τους νέους τους | ΚΕΔΕ
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