29歳、元シリア難民。ドイツの町長に就任へ

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「生まれ育った地元に貢献したい」政治家がこうした想いを語るのを、聞いたことがある人は多いだろう。

地元に詳しいという彼らの強みは理解できる一方、地元育ちの人ではないからこそ、地域の政治に新しい風を吹かせることができるという面もあるのではないか。

2023年4月、かつてシリア難民としてドイツに来たリヤン・アルシェブル氏が、同国のオステルスハイムという町の選挙で、町長に選ばれた。2023年6月18日に就任予定だ。同町は、約2,800人の小さな町である。

若干29歳のアルシェブル氏がドイツに来たのは、2015年のことだ。地元育ちではない、難民というバックグラウンドを持つ人も、町の人々に支持され、町を代表する存在になれるという、オステルスハイムのインクルーシブな姿勢に驚かされる。


ニュースメディアのアルジャジーラの動画で、町の人々はアルシェブル氏について、「彼はここでドイツ語を学び、教育を受け、多くのことを成し遂げました。大きな可能性を秘めた、町の力になってくれる人だと思います」「さまざまな経験をしているので、ずっとこの町にいる人とは違う視点を持っている気がします」と話している。

アルシェブル氏は、町長を目指した理由として、Deutschland.deの記事「私は、一つのことに秀でた人間というより、バランスの良いオールラウンダーです。これは、町長にふさわしい資質だと思いました」と話している。

アルシェブル氏は、ドイツ語があまり上手ではなかった頃、周囲の人から、職人として修行を積むよう勧められたこともあったという。しかし、DIYがとにかく苦手だった同氏は、言葉の壁にぶつかりながらも、公務に関わる道を歩んできた。

自分の強みを見極め、夢に向かって進んできたアルシェブル氏と、そんな同氏を支えてきた町の人々。これからも、皆が一丸となって、魅力ある町をつくっていくことを願う。

【参照サイト】Ryyan Alshebl – Bürgermeisterkandidat Ostelsheim 2023 – Home
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