地球に恋しよう。メルボルンで40年続く環境教育パーク“CERES”の物語

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広大な大地と、豊かな自然が広がるオーストラリア。そんなオーストラリアの恵まれた豊かな自然を守り、引き継いでいこうと、約40年前に地域の住民たちによって始まった環境教育パークがある。

「CERES(シリーズ)」は、第二の都市メルボルンの都会的な暮らしの中で、自然環境と調和した生活を提唱し、子どもから大人までが自然の仕組みを学べる非営利の複合施設だ。現地に住む筆者もよく訪れるお気に入りの場所で、いつも自然豊かな敷地内を歩くだけで癒される。実際に覗いてみよう。

CERESの入口|筆者撮影

メルボルンの中心地から車で約15分。閑静な住宅街に溶け込んだ、緑にあふれた環境教育パーク「CERES」があらわれる。

CERES Map

筆者撮影

敷地内の地図|筆者撮影

約4ヘクタールの広大な敷地内には、都市型農園、カフェ、食料品店、本屋、植物園があり、その他にも環境教育プログラムやワークショップなど、さまざまなプログラムやサービスを提供している。

敷地内のオーガニックファーム|Image via CERES

彼らのビジョンは「人々がもう一度、地球に恋する」こと。一度失われた自然の美しさを取り戻そうと、立ち上がった地域の住民によって始まった、地域のためのコミュニティなのだ。現在では子どもから大人までが集う教育施設となり、買いものやお茶で訪れる人で賑わう、地元の「憩いの場」にもなっている。

筆者撮影

敷地内のオーガニック食料品店|筆者撮影

敷地内の本屋|筆者撮影

もともと筆者は、オーガニック食品店やカフェを目的にCERESを訪れた。初めて訪れた時は都会の喧騒を忘れるような大きな畑や、ボランティアで農作業をしているたくさんの若者たちをみて、その風景に心を惹かれた。その後、徐々にCERESの土地の歴史を知っていくことになった。

CERESはメルボルンの北部から都市部に向かって流れる、メリ川(Merri Creek)のほとりに位置している。かつてこの地には何千年もの間、ヴルンジェリ族という先住民族が住んでいた。メリ川は彼らにとって、泳いだり遊んだりする憩いの場、かつ重要な食料源でもあり、ライフスタイルの中心であった。

しかし1788年に始まるイギリスの植民、ゴールドラッシュ、メルボルンの都市の発展に伴い、この地は家庭廃棄物や建設廃棄物の埋立地となっていった。産業が発展するにつれて水は汚染され、木々や野生生物も姿を消してしまったのだ。

CERES開墾時の様子|Image via CERES

そんな中、1982年に地域住民の小さなグループが、市議会に職業体験プログラムの一環として野菜栽培や堆肥作りにこの土地を利用することを持ちかける。

同時に彼らは、失われつつあった自然や動物を呼び戻すため、何百本もの木や低木を植え、メリ川の浄化を政府に働きかけ続けた。そして12年にわたる浄化作業の後、1994年には長年姿を消していたカワセミが再び小川のほとりに戻ってきて巣をつくるようになったという。

また、環境教育の中心として、持続可能な農業、廃棄物管理、再生可能エネルギー、自然保護などのプログラムが開始され、現在は小学生や地域の住民の学びの場となっている。

CERES BOOK SHOPの入口|筆者撮影

初期の数年間、CERESは助成金、寄付金に頼って運営を続けていたが、可能な限り財政的に自立したいという思いがあり、90年代後半から2000年代前半にかけて、植物園、オーガニック・マーケットと食料品店、カフェ、会場レンタル、教育プログラムなど、多くの社会的事業が設立された。非営利団体として、様々な資金調達ソースを活用して運営され、その使命である環境教育と持続可能な暮らしの推進を支えている。

週末には敷地内で地元のアーティストのミニコンサートや、古着の交換会などのイベントも開催され、地元の人々だけでなく、観光客も多く訪れるCERES。子どもからお年寄りまで、地域の様々な世代の人が集まり、まるで小さな町が出来上がっているようにも見える。

その土地の歴史、自然を次世代に引き継ぐための、地域のハブとしてこれからも愛され続けるだろう。

【参照サイト】CERES
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Edited by Megumi

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