2025年までにすべての学校で気候教育を義務付け。ブラジルの国家気候カリキュラム

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ブラジルが2025年までに、すべての学校に気候カリキュラムを導入する計画を発表した。

このカリキュラムは、国家環境教育政策の一環だ。気候変動や生物多様性保護を重要な要素として位置づけている。これにより、若い世代が未来に必要な知識やスキルを身につけ、気候危機に立ち向かう力を養うことを目指している。

2023年にブラジル大統領に就任したルーラ氏は、前政権とは異なる積極的な環境政策を推進しており、その一環として従来の環境省を「環境・気候変動省」に改編したことでも知られている。同省の大臣にはアマゾン熱帯雨林の保護活動で知られるシルバ氏を抜擢。この人選により、アマゾンの森林消失が大幅に削減され、「農業・林業・その他土地利用」に関わるカーボンクレジットの発行量が増加するなど、環境政策が着実に成果を上げている。

国際労働機関(ILO)は、2030年までに再生可能エネルギー分野を中心に、全世界で2,400万人の新たな雇用が創出されると予測している(※)。世界最大の熱帯雨林アマゾンを有し、水力や風力などの再生可能エネルギーが豊富なブラジルでは、クリーンエネルギーや持続可能な農業、エコツーリズムなどの分野で新たな雇用拡大が期待されている。気候教育を受けた若い世代が、これらの新たな産業で活躍することで、持続可能な未来に向けた道筋が大きく開けていくことだろう。

授業の様子

Image via shutterstock

今回のブラジルの決断は、すべての学校で気候教育を独立した科目として導入することを目指しており、その取り組みは先進的だ。一方、世界の他の国々でも気候教育は進みつつある。

たとえば、イタリアでは2019年に気候変動教育が必修となり、既存の教科に統合されている。アメリカでは、大学で気候変動に特化したプログラムや専攻を創設するケースが増加し、カリフォルニア大学サンディエゴ校では気候変動講座の単位取得を卒業要件にしている。

一方、日本政府も2024年5月14日に「環境教育の推進に関する基本的な方針」の変更を閣議決定した。環境教育の目的として「気候変動などの危機に対応するため、個人の意識や行動変容と組織や社会経済システムの変革を連動的に支え促すこと」を盛り込み、学校内外での対話と協働による学びを推進している。

こうした動きは、2024年11月にアゼルバイジャンで開催される国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)に向けてさらに高まっている。そして2025年に行われる次回のCOP30開催国はブラジルだ。世界に先駆けて気候カリキュラムの義務化を決定したブラジルが、国際的なリーダーシップを発揮し、気候教育の拡大が重要な議題として取り上げられることが期待される。

【参照サイト】EARTHDAY.ORG
【参照サイト】Happy Eco News 「Brazil’s National Climate Curriculum」
【参照サイト】UNESCO「Climate change education for social transformation: Greening teacher training and education systems’ capacities」
【参照サイト】世界経済フォーラム「すべての科目に気候変動を。学校教育が次世代の若者にできること」
【参照サイト】環境省「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」の変更の閣議決定について
【参照サイト】JETRO「COP30開催国ブラジルの気候変動対策を探る」
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Edited by Erika Tomiyama

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