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カーボンクレジットとは・意味

積み木

カーボンクレジットとは?

カーボンクレジット(carbon credit)とは、CO2の排出量見通し(ベースライン)に対し、実際の排出量が下回った場合、 その差分をクレジットとして認証するものを指す。排出量取引のうち、「ベースライン・アンド・クレジット方式」に該当するものである。(他には、「キャップ・アンド・トレード方式」がある)

クレジットは一般的に、モニタリング・レポート・検証を経て、温室効果ガス排出削減量「t-CO2」単位で認証される。

カーボンクレジット市場の概況

カーボンクレジット市場は成長を続けており、クレジット発行は2019年から2020年にかけて10%増加している。クレジット市場には「国際的なクレジットメカニズム」、「政府・自治体によるクレジットメカニズム」、「民間事業者によるボランタリーなクレジットメカニズム」の3種類がある。このうち、ボランタリーなメカニズムによるクレジット取引の成長率は最も高く、2019年から2020年に30%増加している。

なお、これまでに発行された総クレジットの半数以上を占めるのが、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)によるクレジットである。前述のクレジットの発行は2012年がピークであり、2019年に発行されたクレジットの約65%を、ボランタリークレジットが占めている。

カーボンクレジット総計図

出典:World Bank,”State and Trends of Carbon Pricing 2021″

以下は、それぞれのカーボンクレジットのメカニズム概要だ。

国際的なクレジットメカニズム

国際的なクレジット取引の代表例がクリーン開発メカニズム(CDM)である。同メカニズムは京都議定書の元で運用されてきたが、2021年に英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、CDMの後継となる仕組みが議論された。CDMの後継の仕組みは、パリ協定第6条4項(持続可能な開発に資するクレジットメカニズム)に沿ったものであることから、「64メカニズム」と呼ばれる。

「64メカニズム」のもと、2021年1月以降に達成される排出削減・吸収量を認証し、クレジット(64クレジット)が発行されるほか、CDMで登録されたプロジェクトを「64メカニズム」に移行するといった動きがあり、新たな国際的メカニズムの動向が注目される。

政府・自治体によるクレジットメカニズム

世界の国や自治体でクレジットメカニズムの導入が進んでおり、日本でも2013年より「J-クレジット制度」、「二国間クレジット(JCM)」が運用されている。

日本国内の動向としては、2021年12月に経済産業省が新たに「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」を立ち上げ、カーボン・クレジット市場の環境整備やエコシステム形成に向けた議論が始まっている。

また、海外では、豪州炭素クレジット(ACCUs)、California Compliance Offset Program、Australia Emissions Reduction Fund等が運用されている。

ボランタリーなクレジットメカニズム

民間事業者によるボランタリーなクレジットメカニズムは、上述のとおり、近年取引が増加している。代表的なボランタリークレジットの仕組みとして以下の2つが挙げられる。

Verified Carbon Standard(VCS)
WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)やIETA(国際排出量取引協会)などの団体が、2005年に設立した認証基準。森林や土地利用に関連するプロジェクト(REDD+を含む)や湿地保全による排出削減プロジェクトなど多様なプロジェクトが実施されている。2018年の年間取引量の66%を占める。

Gold Standard
WWFなどの国際的な環境NGOが2003年に設立した認証機関。自らVER(Verified Emission Reduction、温室効果ガスの削減・吸収量について発行されるクレジット)を発行するだけではなく、CDMプロジェクトの中でも、現地のコミュニティへの貢献などの付随的なベネフィットを有するとみなされたプロジェクトについては、GSが認証する取り組みを実施している。2018年の年間取引量の20%を占めている。

ボランタリークレジット市場に関連して、2020年9月には、マークカーニー氏(元イングランド銀行総裁、国連気候アクション・ファイナンス特使)らが民間セクターにおけるクレジット市場拡大を目的としたタスクフォース「Taskforce on Scaling Voluntary Carbon Markets(TSVCM)」を設立している。TSVCMは、ネットゼロ実現のためには現在のクレジット市場を2030年までに15倍以上にする必要性があると提言しており、ボランタリークレジット市場は今後更なる発展が見込まれている。

カーボンクレジットの課題

カーボンクレジットには、批判や数々の指摘も挙がっている。例えば、国際的な環境団体Greenpeaceは、ネットゼロを達成するツールとして森林系クレジットが注目されている状況に対して、カーボンオフセットは本質的な解決策ではない・森林で固定されたCO2は永久的に固定されているものではないことを主張。

また米の環境団体のRAINEFOREST ACTION NETWORKは、銀行に対して、融資先がクレジットによってネットゼロを達成する際に、特に現地住人の人権を侵害しているクレジットを使用しないことを要求。

英の広告業界の規制を管轄する組織Advertising Code Committeeは、Shell社が実施するカーボンニュートラル主張について、炭素クレジットでShell社が排出するCO2が補償されていることを正確に証明・説明することができておらず、誤解を招く訴求内容であることについて、環境広告コード(MRC)違反と判断している。

こういった状況を見ると、本質的な排出削減策の必要性、クレジットの品質や透明性の担保等、クレジット創出側・活用側の双方で留意すべき課題が多いことが分かる。

カーボンクレジットをネットゼロ実現に向けた有効なスキームとしていくためには、質・量ともに高いレベルを目指していく必要があるだろう。

【参照サイト】みずほリサーチ&テクノロジーズ「カーボン・クレジットを巡る動向」カーボンニュートラルの実現に向けた カーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会(第1回)資料
【参照サイト】みずほリサーチ&テクノロジーズ「カーボンプライシング:各国で進む炭素排出の見える化 日本では炭素税の導入で攻防続く」
【参照サイト】世界銀行「Carbon Pricing Dashboard」
【参照サイト】JETRO「世界で導入が進むカーボンプライシング(後編)炭素税、排出量取引制度の現状」




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