【2024年11月】詐欺師に立ち向かう「おばあちゃんAI」登場。グッドニュース5選

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、バーガーキングの投票促進キャンペーンや、イギリスにおける石炭火力発電の完全廃止などの話題を紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01. 誰かが詐欺に遭わないよう、時間を稼いでくれる「おばあちゃんAI」

いつ、どこで、誰に電話がかかってくるか分からない、詐欺の電話。日本では、ターゲットになりやすい高齢者に向けた啓発が多い印象だが、どの世代でも詐欺の電話をとる可能性はあるだろう。

この厄介な詐欺師から市民を守ってくれる「おばあちゃんAI」が、イギリスの通信事業者O2によって開発された。詐欺師担当責任者としてDaisyと名付けられた彼女は、詐欺師グループから電話がかかってくると、一回あたり40分にわたって話し続けるという。これにより、詐欺師たちの時間を無駄にしてしまおうという作戦なのだ。同社はおばあちゃんAIの認知拡大を通じて、詐欺電話への注意を呼びかけている。

これは個人の番号に搭載できる機能ではなく、どのように電話を受けているのかは公開されていないが、今日もどこかでDaisyが詐欺師を足止めしてくれていると思うと少し心強く感じる。彼女にならって、怪しい電話には気をつけたい。

【参照サイト】O2 unveils Daisy, the AI granny wasting scammers’ time

02. スペインでサッカー選手が保護犬と入場。引き取りのきっかけに

近年、犬や猫を家族に迎える一つの方法として、保護犬・保護猫という選択肢が日本でも広がりつつある。スペインでは、スポーツの力と掛け合わせてその認知拡大を図る動きが話題となったようだ。

10月のある試合前、バルセロナに本拠地を置くプロサッカークラブ・RCDエスパニョールの選手たちが、保護犬と一緒に歩いたり、抱き抱えたりして入場した。通常は、子どもたちと手を繋いで歩く姿をよく目にする。その入場シーンはメディアでも取り上げられやすいことから、保護犬の引き取りを促す機会として選ばれたのだろう。

入場の様子を捉えた動画は、Instagramで5,800を超えるリアクションが見られた。多くのファンを抱える、スポーツの世界。その影響力は、活用方法次第で社会課題の解決にも大きく貢献することだろう。

 

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【参照サイト】In Spain, football players enter the field with abandoned dogs

03. 100年近い努力の末、エジプトでマラリア根絶

世界三大感染症の一つである、マラリア。マラリア原虫を持つ蚊に刺されることで感染すると言われている。現在日本では感染事例が見られないが、命を奪うこともある病気であり、長年にわたって根絶に向けた取り組みが重ねられてきた。

そうした取り組みを進める国の一つがエジプトであり、古代よりマラリアの感染例があるという。しかし10月20日、世界保健機関(WHO)が同国でのマラリア根絶を宣言した。100年近くにわたる政府と市民による根絶の努力が実った、歴史的な出来事だ。少しずつだが、安心して暮らせる社会が広がりつつあることが感じられるニュースだろう。

【参照サイト】Egypt declared malaria-free after 100-year effort
【参照サイト】Egypt is certified malaria-free by WHO
【参照サイト】マラリア Malaria | 東京都感染症情報センター

04. “サービス対象外”のインドで、AirPodsの補聴器機能を利用可能にした3人

Apple社は2024年9月9日、AirPods Pro 2に難聴チェックや補聴器の機能を新たに導入したことを発表した。イヤホン難聴などを課題と捉え、予防も含めた観点から利用者の健康をサポートすることを目指している。

AirPodsに難聴チェックと補聴器機能が登場。イヤホン難聴の予防・補助に

これを耳にしたインドのRithwik Jayasimhaさんは、難聴の祖母のために「こんな機能を待ち望んでいた!」とAirPods Pro 2を買いに店頭へ急いだ。しかし購入直後、がっかりしたという。インドは、補聴器機能のサービス対象外だったのだ。ただ、彼はここで諦めなかった。

同じように補聴器を必要とする祖母がいる二人の友人と共に、地域制限を避けて補聴器機能を使用する方法を見出したのだ。それは、設定用の親機となるiPadをアルミホイルで包んで電子レンジの上に置き、信号を遮断するというもの。彼らは詳細な方法をウェブサイトで公開し、反響を呼んでいるようだ。どこでも平等にサービスが利用できることを求めると同時に、こんな優しいイノベーションが増えていくことを願う。

【参照サイト】These Guys Hacked AirPods to Give Their Grandmas Hearing Aids
【参照サイト】Bypassing regulatory locks, Faraday cages and upgrading your hearing

05. CMで自転車を「憧れ」にする、ベルギーのキャンペーン

乗り物のCMといえば、ほとんどが車だろう。都市や大自然を勢いよく走り抜ける車の姿は、人々の憧れを掻き立ててきた。一方で、環境負荷への懸念から車社会からの脱却も求められている。では、「車以外」を宣伝してみるのはどうだろうか。

ベルギーでは、ユーモア溢れる自転車のCMが登場。車の渋滞にうんざりした主人公は、自転車で颯爽と駆け抜けていく人や、気ままに自転車を漕ぐ子どもたちを見て、ハッとする。後日、仲間を引き連れ、奇抜な装飾を施したピンクの自転車を乗りこなし始めるというストーリーだ。「自転車のほうがかっこいい」──そんなメッセージが当たり前になったら、街のモビリティも大きく変わるかもしれない。

【参照サイト】The most Belgian of advertisements to encourage cycling

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