地元市民も行き交う、パリのウェルネスホテル・Hoy。「今ここ」を感じる滞在体験デザインの秘訣は?

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※本記事は、「BETTER FOOD(ベターフード) VOL.3 エシカルフード最前線(バリ島)」掲載記事を、一部IDEAS FOR GOOD向けに編集したものです。

パリのモンマルトルの丘の麓に、一軒のホテルがひっそりと佇む。「Hoy(オイ)」という名のホテルだ。

ホテル Hoy

一歩そこに足を踏み入れると、都市の中心であるにも関わらず、パリの喧騒から一歩離れた静寂の空間が広がる。そこで得られるのは、まるで自然とつながるような感覚。扉を開けて目に飛び込んで来るのは、ホテルに併設されている花屋に並ぶ、色鮮やかな花たちである。

Hoy

ヨガとウェルネスをテーマにしたホテルであるHoyは、2018年にオープンした。「Home of Yoga」を意味するその名前はスペイン語で「Hoy(今日)」、「今この瞬間に集中する」という哲学に基づいている。花の香りに癒されながら進む先にあるのは、ホテル併設のレストラン「MESA de HOY」だ。

MESA de HOY

MESA de HOY Image via HOY

Mesa de Hoyは、Hoy創設者のラテンアメリカのルーツに基づく100%植物ベースの料理を提供するレストランであり、食材の選定から調理、提供まで、食材の自然な風味を最大限に生かすホリスティックなアプローチをとっている。添加物を一切使用せず、食材そのものの味わいを引き出す調理法にこだわり、空間や演出も、訪れる人が癒しと幸福感を感じられるようデザインされている。

「レストランを利用しているのは、やはり観光客がほとんどですか?」

筆者が周りを見渡しながら尋ねると、HOY Hotel Parisの創設者であるCharlotte Gomez de Orozco(シャルロット・ゴメス・デ・オロスク)さんは首を横に振った。レストランで朝食を取っていたそのほとんどは地元のフランス人。ヨガルームには、地元の人々が行き交う。その横を、観光客と見られるゲストが通り過ぎる。

レストランからホテルまで、ウェルネスを軸に観光客のみならず地元の人々までを魅了するHOY Hotel Paris。シャルロットさんにホテル創業のきっかけや、関わる全てのステークホルダーを大切にするホテル運営について、話を聞いた。

HOY Hotel Parisの創設者 Charlotte Gomez de Orozcoさん

HOY Hotel Parisの創設者 Charlotte Gomez de Orozcoさん

「一生を過ごせるようなホテルを開業したい」ヨガの家「Hoy」が生まれるまで

Q. ホテルとレストランのお客さんについて、詳しく教えてください。

Hoyは観光客だけでなく、地元の人々にも利用されています。例えば、昨日も私の3人の友人たちが、仕事終わりにホテルに立ち寄り、夜のヨガクラスを受けた後に、Mesa de Hoyで夕食とワインを楽しみ、そのまま宿泊して翌日の仕事に備えて休息を取りました。Hoyは、遠出せずにリフレッシュできる場所として、地元の人々にも支持されています。

今ではこのコンセプトが広く理解されていますが、最初の4年間は特に地元の人々に向けて『ここは君たちのための場所』と伝えることに力を注いできました。レストランやヨガがあることで、こうしたコミュニケーションが生まれ、ホテルが親しみやすい空間として認識されるようになったのです。

Hoy

Q. ご自身について少しお話いただけますか。また、このホテルのアイデアはどのようにして思いついたのでしょうか。

私の家族は4世代にわたってホテル業を営んでおり、長年感じてきた課題の一つは、外部の人々をホテルに迎え入れる難しさでした。パリでホテルを立ち上げる際、地元の人々をどのように自然に迎え入れるかを特に考えました。旅行者が、訪れた街で地元の人々と交わる場所を求めるのは自然なことだからです。

私はホスピタリティの学校を卒業後、すぐにパリでワインバーを開業し、2年間フルタイムで働きました。しかし、その後の休暇中に突然パニック発作に悩まされ、息苦しさと不安を抱えるようになったのです。当時はまだ23歳で、タバコをたくさん吸っていたこともあり、禁煙を決意し、お酒もやめました。

そのとき、母がヨガを勧めてくれたんです。ヨガは呼吸に効果があります。不安でいっぱいだった私には、呼吸をサポートしてくれるものが必要でした。最初に参加したヨガクラスは先生が素晴らしく、すぐにヨガが好きになったのです。バーの仕事に復帰した後は、サービス終了後にスタッフとお酒を飲む代わりに、ヨガのポーズや呼吸法を教えるようになりました。それがとても楽しかったのです。

ホスピタリティ業界は、バーやレセプションに多くの時間を費やすのがほとんどですが、そうではなく「一生を過ごせるようなホテルを開業したい」という夢が生まれました。自分自身が働きたい、開業したいと思える理想のホテルを思い描いたとき、それはいつでもヨガができる場所でした。おそらく、このインタビューが終わったら、私は1時間ヨガをするでしょう。Hoyでは、スタッフも仕事の合間にヨガクラスに参加できる環境が整っています。

ヨガをするシャルロットさん

ヨガをするシャルロットさん Image via HOY

Q. ヨガとの出会いから、100%植物性のレストランを作るコンセプトとどのようにつながっていったのでしょうか。

ヨガについて考え始めたとき、ただの呼吸法だけでなく、食事や体の動かし方など、ライフスタイル全体について意識が広がっていきました。そして、そこから100%植物性のレストランを開きたいと思うようになったのです。

しかし、2018年にオープンを決めた当時、パリには100%植物性のレストランはほとんどありませんでした。ですから私は当時、フランス人はヴィーガン料理に馴染みがないのかもしれないと感じていました。そんな中、マレ地区にあるイタリアンレストラン「Carboni’s」のオーナーである女性シェフ、Sabrina Goldin(サブリナ・ゴールディン)氏との出会いが転機となりました。彼女は「100%植物性のレストランこそが未来だ」と力強く背中を押してくれ、「自分のアイデアを貫きなさい」と励ましてくれたのです。プロジェクトを成功させるためには、周りに信頼できる仲間がいることが重要だと感じました。こうして「Mesa de Hoy」が誕生したのです。

Mesa de Hoyで提供されているタコス

Mesa de Hoyで提供されているタコス

ヨガホテルと聞くと女性的なイメージを持たれるかもしれませんが、私はこのプロジェクトに男性的なエネルギーも取り入れたいと考えました。その際、私のメキシコのルーツが自然とアイデアの源になりました。メキシコといえば肉食のイメージが強いかもしれませんが、実際にはトルティーヤやトウモロコシなど、野菜を多く取り入れた食文化が根付いています。このレストランのメニューも、ラテンアメリカの料理からインスピレーションを得ており、伝統と健康を意識した内容になっています。

今のシェフであるロブと一緒に働くようになってからは1年ほど経ちますが、彼がもともとヴィーガンレストランの出身ではないことが私にとって嬉しいポイントです。彼のアプローチには、従来のヴィーガン料理とは異なる新しいアイデアが詰まっています。人は自分が慣れ親しんでいる味に頼りがちですが、ロブは一般的な食材からインスピレーションを得るため、より親しみやすく、それでいて独創的な料理を作り出してくれるのです。

ロブは時間をかけてメニューの研究に取り組み、レストラン全体の管理も任されていますが、私は常に「これは良いけれど、もっと別の可能性は?」と問いかけるようにしています。自分にとって心地よい料理や味が何かを把握しているので、それを彼に伝え、彼もまたそのアイデアを反映した新しい料理を考案してくれています。

HOY

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「少ないことは豊かである(less is more)」というメッセージ

Q. Hoyではサステナビリティとどのように向き合っていますか。

サステナビリティには外見だけでなく、内面からも取り組むべきだと考えていることが、すべて100%植物ベースで調理している理由です。レストランでは、季節の食材のみを使用し、ワインもすべて自然派ワインを取り揃えています。また、ゼロウェイストを目指しており、レストランもホテルの客室も、ブランドのペットボトル水など外部から持ち込まれたものは一切置かず、備長炭フィルターでろ過した水を提供しています。さらに、包装を極力使用せず、環境に配慮したライフスタイルを提案するパリ初のゼロ・ウェイスト・ショップであるネイキッド・ショップと提携し、「少ないことは豊かである(less is more)」という考え方をゲストに伝えています。

食糧廃棄削減にも力を入れており、例えば、多くのレストランで余ってしまうパンですが、Mesa de Hoyでは翌日にメキシコ風のスープに使い、それが新たな食感を生み出しています。さらに、料理で出る野菜の残りはすべて集め、シェフが煮込んでコラーゲンを加えた美容にも適したスープを作っています。

また、バナナパンケーキには、砂糖やシロップなどの精製品を使わず、イーコンという塊茎を甘味料として使用しています。ゲストには、野菜や植物などの自然な素材から元気を得る大切さを意識してもらえるよう努めています。このように、私たちは日々、人々が元気と活力を得られるような「植物の魔法」を提供しているのです。

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Q. 生産者についてはどうでしょうか。

Mesa de Hoyでは地元の生産者とだけ提携し、地元の食材や季節のものを重視し、地域に根ざした料理を提供しています。商品の品質を確保するため、生産者と密接な連携を取り続けることが重要です。例えば、パリから2時間ほど離れた場所で小規模な家族経営の農家が栽培したトウモロコシを使って作られたメキシコのトルティーヤも提供しています。スタッフも生産者のもとを訪れ、自分たちが提供する商品やその背景を深く理解する機会を設けており、これが私たちのサービスの一環となっています。

生産者との関係も密接で、彼らは時にはパリまで足を運び、農産物を直接レストランに紹介してくれます。昨年もワインの生産者を招き、すべてのテーブルを回ってワインを紹介する大きなワイン会を開催しました。私たちはまた、パリ近郊の若い生産者とも提携し、屋上栽培された野菜なども取り扱っています。

言葉ではなく、五感を通して伝える

Q. プラントベースはあまりパリの人にとって一般的ではないなかで、Mesa de Hoyはそれをどのように克服しましたか。

この成功は、たくさんの研究と情熱があってこそ実現したものです。そして、効果的なコミュニケーションも欠かせません。例えば、私たちは有料広告を使わず、自然な形で認知を広めてきました。情熱を持ってロブのような若いシェフと協力することで、彼が築いてきたコミュニティもここに集まりました。良いシェフを選び、良いメニューを提供することはもちろん、最高のマーケティングは「口コミ」であり、人々が自然に語りたくなるような体験を提供しています。

もちろん、時には料理の味が期待に届かないこともありますが、私の役割はそこに気づき、例えばキッチンスタッフのやる気が不足していると感じたときにどうやって士気を高めるかを考えることです。外部からシェフを招き、ポップアップ・レストランを開催することもあります。これにより、キッチンに新しいエネルギーがもたらされ、スタッフが常に新しい学びの機会を得ることができるのです。

この場所の目的は、ゲストに料理を楽しんでもらうこと。料理を味わい、香りを感じながら心地よさを味わってもらえれば、それが一番です。多くの方が、食べることで気分が変わり、内側からの癒しを感じ取ってくれます。レストランを開く際には、心からの情熱が求められます。この場所を形にする際にも、自分が本当に納得できる空間を作りたかったのです。照明や遠近感、見える景色など、細部にまで心を配り、日本のわび・さびの精神を反映させています。流行りの観葉植物や華やかな装飾も素晴らしいですが、ここでは内面に集中できるシンプルな美しさを大切にしているのです。

「リラックスしてください」と言葉では伝えませんが、自然に感じる色や触感が心を落ち着かせ、無意識のうちに心地よさと活力を提供できる場所でありたいのです。細部にこだわることで、人々が安心し、リフレッシュできる空間をつくりだしています。

「私にとって、花屋はとても大切な存在でした。花屋のお花のように自分もありたいと思うほどです。ホテルに入った瞬間、花が出迎えてくれて、その存在が私を幸せにしてくれるのです」

「私にとって、花屋はとても大切な存在でした。花屋のお花のように自分もありたいと思うほどです。ホテルに入った瞬間、花が出迎えてくれて、その存在が私を幸せにしてくれるのです」

まるで「自分の家」のようにくつろげるホテル

Q. レストランだけでなく、ホテル全体でサステナビリティにどのように取り組んでいますか。

環境面については、開業当初から特に力を入れてきました。新しい世代のホスピタリティには、あらゆる場面で責任ある行動が求められると考えています。例えば、客室では空気を常に浄化する仕組みを導入し、窓を開けずに室内の熱を最大限に利用しています。空調は外気温との差が5度以内に制限されており、夏場に涼しさを求められても、環境への影響を考えた方針に従い、「いいえ」とお答えすることもあります。このときスタッフには、なぜそうしているのかを説明することで、ゲストにも理解してもらうように伝えています。

また、部屋には電子機器を置かず、代わりにセラミック製のスピーカーやストレッチ用のバーを設置しています。これにより、ゲストにはテレビの代わりに体を伸ばしてリラックスする時間を楽しんでいただけます。プラスチックは一切使用せず、陶器や竹繊維など、自然な風合いを持つ素材を採用しています。トイレットペーパーも再生紙を使用し、全てのアイテムはヨーロッパ製です。

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「22室の客室はアーティストと協力し、壁は心が落ち着く淡い緑や青のトーンで彩られています。そのため、ゲストが部屋にいると、自然と『自分の家』のような安心感を覚えるのです」Image via HOY

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働く人のウェルビーイングを第一に。スタッフは一つ以上の役割を担う

Q. Hoyを経営するうえで大切にしていることは何ですか。

私は多くの学びを通じて、ゲストをケアする方法を身につけてきました。私たちが提供するすべてのセラピーやケアには、「情熱」「人間性」「教育」の3つのキーワードが含まれています。

ホテル運営で最も大切な要素の一つは「情熱」です。私が常に伝えているのは、人生の浮き沈みがある中で、お金を稼ぐ以上の価値ある仕事に携わることの重要性です。毎日ここで働き、人々の役に立っているか、世界をより良くしているかを感じられるかを自分自身に問う。自分の仕事に情熱を注ぐことが、良いホスピタリティの基盤となります。心からの情熱を持っていることで、言葉以上に伝わるものがあるからです。

「人間性」に関しては、私たちは人と人とが触れ合う仕事をしているため、親切さや優しさが重要です。優しさは心から湧き出るものであり、情熱を持っているからこそ、どんなに厳しい状況でもそれを保つことができます。また、ここでの「教育」とは、良い教師であり、良い学び手でもあることを意味します。ゲストに対して学びや情報を提供する姿勢とともに、スタッフ自身も成長し続ける必要があります。スタッフには、ホリスティックセラピーや食事に関する知識を共有し、ゲストが「ここは安心できる場所」と感じてもらえるようにするのです。

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Q. スタッフの方々がイキイキと働いているのが印象的です。スタッフのウェルビーイングにはどのように取り組んでいますか。

私たちは助け合いを大事にしています。例えば、受付スタッフがレストランを手伝ったり、レストランのスタッフが受付をサポートしたりするなど、単にそれぞれの役割を果たすだけでなく、全員で協力する体制を整えています。こうした考えは、開業当初から掲げてきたもので、レストランではキッチンとホールのスタッフ間での連携や交代勤務の日を設けることで、部門を超えた協力関係を築いています。これにより、スタッフが安心感を得られる環境が整い、各自が頼れる存在を感じられるのです。

また、私たちのスタッフは多才で、受付業務をしながらも写真撮影が得意な人や、デザインのスキルを持つ人もいます。時には彼らの特技を生かしてもらうこともあり、役割に柔軟性を持たせています。例えば、あるスタッフは受付業務をしながらグラフィックデザインを学んでおり、別のスタッフは清掃を担当しつつ、ダンスへの情熱を活かして時折教室を開いています。こうして、スタッフが自分らしくいられる環境を作っています。

私たちは内面からエコロジーを実践する姿勢を大切にしており、それはスタッフの健康と働きやすさにまで配慮することから始まります。レストランやホテル業界はハードな仕事ですが、スタッフの負担を軽減し、過剰なストレスがかからないよう多くの人材を雇用しています。また、スタッフがヨガや瞑想のクラスに参加することもできます。こうした柔軟な環境を整えることで、スタッフは仕事に充実感を持ち、自分らしさを発揮できるのです。本当に素晴らしいチームで、私は自分のチームが大好きです。

「今、ここ」に集中する大切さ

Q. 今後、Hoyの拡大を考えていますか。これから挑戦したいことを教えてください。

実際、パリで2店舗目をオープンするための場所を探し始めており、ロンドンやマドリードなどの都市での展開も視野に入れています。しかし、複数のホテルを展開することが本当にサステナブルなのかと自問することもあります。

ただ、それでも都市部では人々が心からリラックスできる場が求められています。次の目標は、母親に焦点を当てた場所を作ること。妊娠を望む女性、妊娠中の方、出産後の母親など、女性のライフステージに寄り添うプロジェクトにしたいと思っています。

私の人生の目標は、これまでとは異なるホテル体験を提供し続けることです。どのようにすれば本当に素晴らしい体験を生み出せるかを常に考え、新しい形のホスピタリティに挑戦したいのです。

また、ヨガが私を救ってくれたと感じたように、私も誰かにとってビーガン生活やヨガ、他のライフスタイルの変化を支援できることにやりがいを感じています。こうして、人々が充実した生活を送れるようサポートできるのは本当に素晴らしいことですし、それが私にとっての幸せです。

ホテルの名前「Hoy」は「ヨガの故郷」を意味し、スペイン語で「今日」という解釈も込められています。私たちが今この瞬間に存在し、ここで話していることそのものが重要であるという考えから名付けられました。日々の計画や未来にばかり意識が向きがちな私たちですが、この名前を考えたとき、「どうすれば今ここに意識を集中できるのか」という問いが自然に湧き上がったのです。

現代では、誰もが携帯電話やパソコンなどからの情報で未来を考えがちですが、今に集中することの大切さを私たちは伝えています。「Hoy」という名前は、その思いをシンプルに表現しており、ここが私たちのいるべき場所であることを強く感じさせてくれるのです。

編集後記

「少ないことは豊かである(less is more)」

取材の中で彼女が何度か口にした言葉である。レストランにもホテルの客室にも、「伝える」ための文字や広告は見当たらない。なぜならこの場所では、「感じる」ことが何よりも大切にされているからだ。リラックスできる色彩、こだわりの音楽、花の香りに満たされた空間で、心から美味しいと思える料理を楽しみ、にこやかなスタッフが迎えてくれる。この心地よさは、細部への配慮から生まれているのだろう。

取材の最後、彼女は「ここで自由に過ごしていってね」と声をかけてくれた。筆者はそのまましばらく仕事をしながら、地元の人々が気軽に行き交う、このまるで「家」のような空間を味わった。彼女が「一生を過ごせるホテルを作りたい」と話していたことが頭をよぎり、自然と地域、そして自分自身と繋がれるこの場所が、誰かにとって心の拠り所になるのだと感じた。

この心地よさは文章だけでは伝えきれない。ぜひパリを訪れた際には、このホテルの扉を叩いてみてほしい。きっと温かく迎え入れてくれるはずだ。

【参照サイト】Hoy公式サイト

※本記事は、「BETTER FOOD(ベターフード) VOL.3 エシカルフード最前線(バリ島)」掲載記事を、一部IDEAS FOR GOOD向けに編集したものです。
食分野におけるサステナビリティの先行事例を紹介する不定期刊行誌〈ベターフード〉第三号の特集は「エシカルフード最前線(バリ島)」。編集部自らバリ島に3週間滞在し、現地のレストランやホテル、農家から村の司祭まで、注目すべき人々へインタビューを行った。風光明媚なビーチから、熱帯特有のエネルギー溢れるジャングルまで、バリ島にどっぷりと浸かりながら現地の熱気を詰め込んだ一冊。より良いフードシステムを創ろうと奮闘するバリの人々のリアルに迫る。
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