恒久的な「週4勤務」に、英国企業200社が合意。従業員のウェルビーイング向上につながるか

Browse By

週末の休暇が2日から3日になれば、あなたはどのように時間を使うだろう。一日休みが増えるだけで、できること、したいことの可能性を無限大に感じるかもしれない。あるいは、逆に休暇を持て余してしまうだろうか。新型コロナのパンデミック以降、ワーク・ライフ・バランスの重要性に改めて気付かされた人も多いだろう。

2022年6月、イギリスで「週4勤務(週休3日)」の実験が始まった。主導したのは4 Day Week Foundation。この実験には、慈善団体やマーケティング、テクノロジー企業など約70社が参加し、3,300人以上の従業員が週4勤務を実際に試した。

そうした試行錯誤の段階を経て、2025年1月イギリスの企業200社が、給与の減額なしで全従業員を恒久的に週4日勤務にすることに合意。これはイギリスの働き方改革において画期的な動きとされている。

4 Day Week Foundationのキャンペーンディレクター、ジョー・ライル氏は、The Guardianの取材「9時から5時までの週5日勤務は100年前に作られたもので、現代は更新が必要」と語り、今こそ働き方を見直す時期だと強調している。週4勤務にすることで、人々にもっと自由で幸せな生活を送るチャンスが与えられるというのだ。

ライル氏の意見は、実際にデータでも裏付けられている。2022年の週4勤務実験に参加した人々を対象にしたTime Outの調査では、従業員の離職率が減少したことが明らかに。さらに、71%の従業員が「燃え尽きを感じなくなった」と回答し、全体の満足度は10点満点中9.04点と高評価を得た。若い世代の支持も、この動きを後押ししているようだ。

一方、こうした「柔軟な働き方の選択肢」が一部の人々にしか開かれていないという指摘もある。現に、「リモートワーク」は一部のオフィスワーカーにしか適用されておらず、医療・建設・運輸・小売業など現場で働く職種への導入は難しい。週4勤務も同様に、一部の業種にのみ適用されていき、結果的に働き方の「選択の格差」を助長していく可能性もある。

週4勤務は今後どれほど普及し、長期的に生産性や従業員満足度にどのような影響を与えていくのだろうか。それが生み出しうる働き方の格差についても注視しながら、その動向を追っていきたい。

【参照サイト】4 Day Week Foundation
【参照サイト】Two hundred UK companies sign up for permanent four-day working week
【参照サイト】Inequality in flexible working dividing Britain into ‘two-tier workforce’
【参照サイト】200 UK companies just signed up for a permanent four-day working week
【参照サイト】Two hundred UK companies sign up for permanent four-day working week
【参照サイト】12 takeaways from the UK’s four-day working week experiment
【関連記事】週4勤務も良いことばかりじゃない。先陣を切ったイギリスに「幸せな働き方」の視点を学ぶ

Edited by Megumi

FacebookTwitter