「それ、ウチなら資源にできます」企業間で余剰電子部品を再利用する、英国のマッチングサービス

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現代の生活に欠かせない電子機器。例えば、その代表格であるスマートフォンには金、銀、銅などの貴金属を使った部品が含まれており(※1)、これらは都市鉱山とも呼ばれる貴重な資源である。

国連の報告によると、2021年の世界の電子廃棄物(e-waste)は5,700万トンに達した(※2)。こうした電子廃棄物の問題に加えて、電子機器の製造現場では大量の余剰在庫が発生しており、使われないままの電子部品は経済的損失や環境負荷の増大につながっている。

これらの問題を解決する一歩として、イギリスの電子機器部品のサプライヤーであるComponent Senseの「部品再配分プラットフォーム」が注目されている。このプラットフォームは、企業間の余剰電子部品をリアルタイムでマッチングし、必要な部品を迅速に供給することで無駄を削減。フリーマーケットのように柔軟な部品流通を実現する仕組みだ。

 

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例えば、あるメーカーが過剰に仕入れたICチップを登録すると、別のメーカーがすぐに購入し、自社の製造に活用できる。リアルタイムで部品の在庫状況を確認し、必要なものを迅速に手に入れることができるのだ。このプラットフォームを利用することで、部品を売る企業は不要になった新品の電子部品から利益を生み出すことができ、受け取る企業は必要な部品をコストを抑えて調達できる。

取引はすべて企業間(BtoB)で行われ、プラットフォーム使用者となるのは、EMS(電子機器受託製造サービス)や電子機器メーカー、通信機器メーカー、自動車産業における電子部品供給企業などだ。Component Senseによる100以上のチェック項目に沿った厳格な品質管理が、ビジネス利用に求められる信頼性も担保する。

同社の取り組みは、電子部品の需給バランスを整え、新たな資源を投入せずとも適切なマッチングを行うことで、企業のニーズを満たしながら廃棄物を削減できることを示している。限りある資源をどう活かすかが問われる今、こうした“見えない余剰”をシェアする仕組みは、電子部品にとどまらず、ものづくり全体における循環型の取り組みのヒントになるかもしれない。

※1 Your old phone is full of untapped precious metals BBC
※2 The Growing Environmental Risks of E-Waste Geneva Environment Network

【参照サイト】Component Sense
【参照サイト】Component Redistribution: Can It End Overproduction in Electronics?
【参照サイト】Why Redistribution Makes Sustainable, Financial, and Component Sense Component Sense
【関連記事】修理アプリに、職人ネットワーク。欧州で加速するリペアサービスの最前線【欧州通信#37】

Edited by Megumi

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