南米のインテリア店が、あえて「散らかった部屋」を展示した理由

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普段整っている部屋が散らかり始めたとき、それはあなたの心の不調のサインかもしれない。

世界保健機関(WHO)によると、全世界でおよそ2億8,000万人がうつ病を患っているという(※)。しかし、うつ病は外見からは分かりにくく、本人も周囲も気づかないまま時間が過ぎることが少なくない。こうした見えにくいメンタル不調に光を当てたのが、南米に店舗を持つインテリア用品店・Casaideasのキャンペーン、「The Invisible Symptom(見えない症状)」だ。

このキャンペーンは、ペルー、コロンビア、メキシコにあるCasaideasの40店舗で展開された。通常なら美しく整った部屋を再現するはずの店頭ディスプレイに、今回はあえて散らかった寝室やリビングを再現。その違和感によって、うつ病による行動変化の一例である“生活環境の乱れ”を直感的に伝える工夫が施されている。


展示された部屋では、生活感あふれる散らかり具合が細かく再現された。ベッド脇に積まれた衣類や、片付けられずに床に散乱した本、飲みかけのカップ……多くの人が自分自身の経験や身近な人を思い浮かべてしまうかもしれない。

外から見えづらい内面の不調を「視覚的な違和感」で伝え、買い物中の来店客にさりげなく気づきを促す仕掛けとなっている。多くの人が「これは自分の部屋のようだ」と感じることで、日常の中でメンタルヘルスの話題がされやすくすることを意図しているのだ。

Casaideasはこの演出に加え、単なる啓発にとどまらず支援へとつながる仕組みも導入している。店頭およびオンラインストアでは、メンタルヘルス支援団体への寄付を募るとともに、悩みを抱える人がすぐに相談できる支援機関も紹介。気づきを得た人が行動に移しやすい環境が整えられている。

うつ病やメンタル不調は、誰にでも起こりうるものだ。今回のThe Invisible Symptomキャンペーンは、ときに身の回りの小さな変化として現れるサインに私たちがもっと敏感になるべきだということを気付かせてくれる。

Depressive disorder(Depression)World Health Organization
【参照サイト】Casa Ideas
【参照サイト】Tiendas de decoración con dormitorios desordenados: así dio visibilidad esta campaña a la depression
【参照サイト】Casaideas visibiliza la depresión en una poderosa campaña que desordena las percepciones
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Edited by Megumi

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