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【2020年最新版】社会問題を解決に導く、ゲーミフィケーション活用事例13選

ゲーミフィケーション
いま、社会課題の解決の手法として注目されているゲーミフィケーション。これは、人々を「ゲームのように夢中にさせ、アクションを促す」仕組みのことだ。他のユーザーとの競争や、ミッション成功の報酬といったゲーム的要素を取り入れて対象者を動機付けし、特定の行動に結びつける。

本記事では、これまでIDEAS FOR GOODでご紹介した事例の中でも、ゲーム的要素をうまく活用したプロジェクトを選出。ゲーミフィケーションで社会をよくするアイデア13選として、ご紹介したい。

ゲーミフィケーションとは?

ゲーミフィケーション(Gamification)とは、テレビゲームやスマホゲームで使われるような技術や手法を、ゲーム以外のものに利用することを指す。

ユーザーの攻略欲を煽り、楽しみながら行動できるということで、ゲーミフィケーションは古くからマーケティングに使われてきた。たとえば、会員制アプリによくある「ポイント」や「利用レベルに応じた特典」などだ。しかし、『ゲーミフィケーション』の著者であるゲーム研究者・立命館大学講師の井上明人氏は、ゲーミフィケーションの広い定義は「社会的な活動にとってゲームが役に立つこと」だとしており、社会の課題解決や人々の行動変容に向けたものを意味している。

ゲーミフィケーションには、行動経済学や心理学がノウハウの活かされており、教育(勉強)や仕事など、今やさまざまな用途で使われている。「やったほうがいいが、ハードルが高い」取り組みを、「やりたい」取り組みに変える。そして、自分でも気が付かないうちに社会に貢献している。そんな楽しい問題解決ができるのがゲーミフィケーションなのだ。

世界のユニークなゲーミフィケーション活用事例

都市問題を解決する

01. 自分の街の“危険な道路”を見つけるミッション

通学路にはスパイがいっぱい。安全な道路をみんなで作るアプリ


ノルウェーの首都オスロでは、安全な道路づくりに向けて、子供たちと協力した新しいプロジェクトが始まった。学校に通う子供たちが「スパイ」となり、街の中でも交通量が多い場所、車がスピードを出している場所、視野が悪い場所など、歩行者にとって危険なスポットを探し出すミッションをこなすもの。効率のいいインフラ整備ができる。

02. 位置情報搭載。街中を歩き回りながら社会問題を学ぶゲーム

NYをゴーストから解き放つのは君だ!都市問題を学べるモバイルゲーム「NYC Haunts」


「NYC Haunts」は、プレイヤーが“ゴースト探偵”となって実際にニューヨークシティを歩き回りながら遊ぶ代替現実ゲーム。位置情報を搭載しており、探偵たちは街の歴史から、階級間格差、ホームレス問題、先住民・移民問題、環境汚染まで、ゴーストの声を通してさまざまな問題を学んでいく。子供に街の身近な問題を学ばせる、ユニークな手段だ。

子供たちの健康と安全を守る

03. 歯磨きストレスを楽しい時間に変えるスマート歯ブラシ

歯磨きをもっと楽しい時間に。子供の憂鬱をゲーミフィケーションで解決


音楽やゲームを通じて、子供が嫌いな歯磨きの時間を楽しいものに変えるスマート歯ブラシ。本体には防水スピーカーが搭載されており、歯磨きをすることでそこから好きな音楽が流れるようになっている。また、家族全員の歯ブラシ状況を記録し、それにより家族同士で歯を磨いた回数と時間の長さを競い合う「歯磨きゲーム」もできる。

04. ダイエットするたび空腹の子供を救うウェアラブルバンド

肥満の子どもが運動するほど、飢餓に苦しむ子どもが救われるウェアラブルバンド

「Kid Power Bands」は、装着しながら運動し、専用アプリ上のミッションをこなすと、ポイントを貯められるバンドだ。貯めたポイントの分だけ、栄養価の高い食料が途上国にいる栄養失調の子どもたちに届けられる。自分が楽しみながら体を動かせば動かすほど、遠くの子どもたちの命を救えるという仕組みである。

ネットとの付き合い方を考える

05. 差別にフェイクニュース。あらゆる「ネット荒らし」を体験するゲーム

フィンランド国営放送が開発。“荒らし”になりきるゲームで学ぶネットリテラシー


ゲームの名前は「Troll Factory(荒らし生産工場)」。プレイヤーは、SNSでフェイクニュースを流したり、差別発言をしたりする「ネット荒らし」に扮し、その手口を理解することで過激な情報に踊らされないように学ぶデジタルエクスペリエンスだ。子供の遊び心を刺激しながら、ネットリテラシーも高めるユニークな試みである。

06. スマホを放置すればするほど「ごほうび」がもらえるアプリ

勉強に集中すれば、ごほうび。ノルウェー発、スマホ依存症の学生のためのアプリが登場


学生のスマホ依存を改善し、勉強に集中できるようにするためのアプリ。本アプリを立ち上げ、時間を設定すると、その間は他のスマホ機能が使えなくなる仕組みだ。時間が延びるにつれポイントが貯まり、コーヒーからお菓子、映画のチケット、はたまた学校の奨学金まで、さまざまな「ごほうび」と交換できる。放置するほど得するアプリだ。

遊びながら環境を守る

07. 世界中どこにいても遠隔で川の清掃ができるオンラインゲーム

河川ゴミ拾うならオンラインで?ゲーマーを巻き込む、新感覚の社会貢献


遠隔制御のゴミ収集ロボット「Trashbot」を使った新感覚のオンラインゲーム。プレイヤーは、インターネット経由でゲームにアクセスし、Trashbotを操縦することでシカゴの河川のゴミを一掃できる。これにより、現地に行かなくても世界中のゲーマーがオンラインで河川美化に参加可能。ゲームの最終目的は、「拾うゴミがなくなって、これで遊ぶのがつまらなくなること」だ。

08.  「CO2を出さない商品」に使いたくなるクレジットカード

CO2排出量に応じて利用が制限される、スウェーデン発のクレジットカード


スウェーデン発のクレジットカード「DO Black」を使って商品やサービスを購入すると、その商品・サービスの購入がもたらすCO2排出量が自動計算される。ユニークなのは、買うものによってCO2を出しすぎると、利用が制限されてしまうところだ。会社で導入した場合、たとえば同僚の中で一番CO2排出が少なかった人にインセンティブを与えるという楽しみ方ができる。

09. 車の代わりにバスや電車を使うと報酬がもらえるエコ都市

エコな交通手段で報酬がもらえる「CitiCAP」フィンランドの環境先進都市によるモビリティ活用


ヨーロッパ随一の環境先進都市であるフィンランド・ラフティの政策。専用アプリが、登録した市民の移動手段、距離、所要時間などからCO2排出量を自動で算出し、シェアカーや自転車などのエコな交通手段で排出量を抑えると、バスの割引券や自転車修理の割引クーポンなどといったさまざまな報酬を与える仕組みになっている。

社会問題に触れるきっかけをつくる

10. 「決められた結婚だけは嫌!」文化を見直すボードゲーム

結婚不適合になろう。パキスタン発の見合い婚を避けるボードゲーム「Arranged」


ランダムにカードを引いてプレイヤーを動かすパキスタン発のボードゲーム「Arranged」。本ゲームの目的は、あらゆる手段で望まない結婚を逃れることだ。保守的なパキスタンの結婚の慣習をもっと気軽に見直すチャンスをつくり、女性が自分の意思による選択をできるようになることがこのゲームの肝である。

11. これから起こりえる「気候危機」を体験するゲーム

気候変動が進んだ世界を旅するシミュレーションゲーム「The Climate Trail」


「The Climate Trail」は、環境問題を気軽に学べるゲームだ。プレイやーは、アメリカ南部で起こる熱波や竜巻、雷雨などに苦しみながら安全な場所を求めて旅をするが、頻繁に嵐に遭遇し、そのまま進むか、止むまで待つかの選択をせまられることも。NASAが予測した、「未来に起こり得る状況」を体験することで気候変動へのアクションを促すものである。

ゲームでの寄付が現実になる

12. VR村で寄付できる、バーチャル散歩

VRの世界で寄付をして、現実世界を変えられる「Virtual Village」


「Virtual Village」は、360度動画でアフリカの村を歩けるサービス。学校や住民の家などを訪ねて人々の生活の現状を知り、教育や医療、農業など自身が興味を持ったテーマに対してその場で寄付ができる。ゲーム内の寄付は特定のチャリティプロジェクトに直接送られる仕組みとなっている。寄付をするのは仮想現実の世界だが、そのインパクトは実際の現実世界に反映される。

13. アプリ上の課金が途上国支援につながる、スマホゲームストア

ゲームアプリ課金がマイクロ融資に。開発者も途上国の人々も幸せになる「Play Seeds」


アプリ内の課金を通じて発展途上国の人々にマイクロ融資をできるようにするサービス「Play Seeds」も熱い。本システムが導入されたアプリ内で課金をすると、その一部が経済的自立を目指す発展途上国の人々向けの「マイクロローン」という少額融資に充てられる。ゲームを楽しみながら、遠くにいる人々を支援できるシステムだ。

まとめ

現在、ゲーミフィケーションに関する論文も多くあり、その概念やポテンシャルに注目が集まっている。今回ご紹介した事例以外にも、世界では学習方法やマーケティング、慈善事業など、さまざまな用途でゲーミフィケーションが使われているのだ。

繰り返しになるが、ゲーミフィケーションの肝は「没頭していたらいつの間にか社会を変える力となっている」ことだ。楽しみながら社会課題を解決できるゲーミフィケーションのこれからの広がりに期待したい。

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