結婚不適合になろう。パキスタン発の見合い婚を避けるボードゲーム「Arranged」

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今年はハッシュタグ #Metoo を使ってソーシャルメディア上で自らのセクハラ経験を告白することが大流行するなど、ジェンダーの平等を主張する動きがあちこちで加速している。しかし、世界の全ての国でジェンダーの平等が達成される日はまだ遠い。

南アジアのパキスタンも、女性の権利に関して保守的な国のひとつだ。2017年のGGI(ジェンダーギャップ指数)で144ヶ国中143位のこの国では、親が選んだ相手と結婚することが伝統的に望まれており、この「決められた結婚」に女性は自分の意思で反対しづらい。

そんな伝統を考え直すきっかけとして、パキスタン出身のデザイナーNashra Balagamwalaはユニークなボードゲーム「Arranged」を開発した。ランダムにカードを引いてプレイヤーを動かすこのゲームの目的は、あらゆる手段で決められた結婚を逃れることである。

Arranged

Image via Nashra Balagamwala

望まない結婚を避けるためには、Auntyの不適切リストに載ることが重要だ。Auntyとはウルドゥー語のスラングで、町に住む独り身の男女を全員把握している中年の結婚仲介人を意味している。Auntyは結婚に最適な「若くて従順、細身で色白の賢い女性」に近づいてくるため、こういった条件に該当しない女性になるために、ゲームのカードには保守的なパキスタンの結婚に関する規範を破るような指示が書かれている。

たとえば「薬局の避妊具売り場にいる。誰かに見つかる前に出て!」というものだ。結婚するときに女性は処女であることが望まれる社会でのこういったスキャンダラスな行動は、Auntyの不適切リストに載る可能性が高まるため、Auntyから5マス離れられるラッキーカードだ。ほかにも公共の場所に男友達と出かけたり、自身のキャリアについて話したりすることでAuntyから遠ざかることができる。

ゲームの開発者であるNashra氏は、自分自身が「結婚不適合」として見られるために偽の結婚指輪をつけたり、色白が好まれるパキスタンにおいてわざと日焼けをしたりした経験がある。アメリカでゲームデザインを学んだ彼女は、自身の経験から結婚の慣習をもっと気軽に見直すチャンスをつくり、女性が自分の意思による選択をすることに自信を持ってもらいたいと願っている。

パキスタンでArrangedの販売が開始される際には「発売によって私はもっと不適合になってしまうわ」と笑いながら彼女は言った。

現在、パキスタンの都市部では約半数が伝統的な見合い婚ではないとされる。しかし周辺諸国や宗教の制約がある国など、女性が自ら声をあげることが簡単ではない場所はまだ多くある。このような現状を身近な人と話し合うきっかけとして、このボードゲームは一役買うのではないだろうか。

【参照サイト】Arranged!
【参照データ】世界経済フォーラム Global Gender Gap Report 2017

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