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【まとめ】都心でも自然に触れられる世界のアイデア10選

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新型コロナウイルスの拡大を受けて、「コロナ鬱」や「コロナ離婚」などの言葉も登場し、仕事や生活に不安やストレスを今まで以上に感じた人もいるだろう。新型コロナに限らず、大きな災害が人々のメンタルヘルスや睡眠の問題を引き起こすことはよく言われる。

最近の調査によると、都市に住むアメリカ人の大半がパンデミック下の身体的・精神的健康にとって、地域の公園や緑地の存在がプラスに働くと考えているという。過去にペンシルバニア大学の研究でも、「都市の緑化でメンタルヘルスが向上する」という結果がでた。また、英エクセター大学の研究者らが2019年に発表した研究では、自然の中で週に2時間以上過ごすことが、人々を良好な健康状態やウェルビーイングに導くことがわかっている。それに伴い、カナダでは2020年12月から医者が患者に対して「自然のなかで過ごす時間」を正式に処方できるようになっている。

ウェルビーイングを最大化するためには、自然との関わりを持ち続けることが重要だ。本記事では、日頃から世界のソーシャルグッド事例を配信するIDEAS FOR GOODがこれまで紹介してきた、都市にいながらも、自然と関わり続けることができるアイデアをご紹介する。

自然との関わりを持つことができるアイデア

01. 店内で野菜を育てる垂直農業テック

ドイツ発、店内で野菜を育てる垂直農業テック「Infarm」都内スーパーに展開

ドイツ・ベルリン発、都市型農場野菜のプラットフォームであるInfarm(インファーム)が、2021年から日本に展開をしている。インファームは、世界10カ国および30の都市で事業を展開しているベルリンのアグリテック(農業×テクノロジー)企業だ。土壌ベースの農業よりも99.5%減の土地、95%減の水、90%減の輸送距離で、化学農薬を使用せずに、毎月50万本以上のハーブ・野菜を収穫している。現在インファームが日本で行っているのが、日本国内のスーパーの店内で野菜やハーブを育て、その場で売るというサービスだ。対象となるスーパーは、東京都内にある紀ノ国屋インターナショナル(青山店)、Daily Table KINOKUNIYA 西荻窪駅店、サミットストア五反野店の3店舗。

02. 室内に置ける、水耕栽培のスマートガーデン

部屋の空気を浄化する、水耕栽培のスマートガーデン「Respira」

人々のメンタルを癒し、暮らしの質を上げる観葉植物「Respira」は、土を入れ替える必要がない水耕栽培のIoTスマートガーデンだ。ユニットの上部から空気を取り込んできれいな空気に換える機能があるだけでなく、その時々にあわせて除湿をしたり冷気を発したりすることで、部屋の状態を快適に保つことができる優れものだ。Respiraとはスペイン語で「呼吸する」「息をつく」という意味。キャンペーン動画では「あなたが最後に “思いきり呼吸ができた” と感じたのはいつですか?」という問いかけから始まり、室内環境をより健康にしていくことや、都市化が進む中で自然とのつながりを取り戻すことの大事さを説いている。

  • 国名:スペイン
  • 団体(企業)名:Respira
03. 旧たばこ工場がヨーロッパ最大の垂直農園に

メンタルヘルスの改善に。旧たばこ工場がヨーロッパ最大の垂直農園へ

旧たばこ工場を生まれ変わらせた垂直庭園の庭園内には、32種類に及ぶ植物がおよそ2万株植えられている。栽培される植物は屋内でも生存できるよう、太陽光学に基づいた緻密な計算のもと選ばれたものだ。この垂直庭園は、カスティージャ・エルミダ市民センターとして、人々が集う場所になる予定だ。新型コロナのパンデミックが人々のメンタルに影響を及ぼしている今、都会に緑の景観を生み出す垂直庭園は、多くの人の心を和ませることになるだろう。

04. 世界の森にテレポートできる、デジタル森林浴ラジオ

森林破壊を止める。世界の森にテレポートできる、デジタル森林浴ラジオ「tree.fm」

「tree.fm」というサイトでは、マレーシア、ポルトガル、中国、フランスなど、世界各地にある森の音を聴くことができる。サイトの使い方はシンプルで、画面に表示されるボタン「Listen to a Random Forest(どこかの森の音を聴く)」をクリックするだけだ。tree.fmはベルリンに拠点を置くソーシャルビジネスの「Ecosia」とパートナーを組んでおり、サイトにはユーザーをEcosiaの植林プログラムに誘導する仕掛けを作っている。森の音に癒されたユーザーが、自然への感謝の気持ちをすぐにアクションに変えられるよう、画面に「Plant Some Trees(植林する)」というボタンを設置している。

  • 国名:ドイツ
  • 団体(企業)名:tree.fm
05. 身近な野草に触れてみる

知ることで、守れる。植物研究家が伝える「野草」の魅力


古来から、染料や薬草として日本文化に根付いていた「野草」を後世に残すため、野草の素晴らしさを国内外に発信する山下智道さん。道端に生えている草を私たちは雑草と呼びますが、「知るだけで、『雑草』が『薬草』に変わるんです。」と山下さんは言う。どんな草にも名前や役割があり、それを知るだけで活用できる。都市部でも見つけられる野草のことを少し知るだけでも、見ている世界が変わるかもしれない。

06. 都市のレストランで、地産地消に触れる

都心で“地産地消”を実現させた大阪のレストラン「BELLA PORTO」【FOOD MADE GOOD#4】


地方に行くと、店舗の敷地内で野菜を育てて料理を提供する農家レストランはよくあるが、東京や大阪などの都心で自社農園を持っているレストランは数少ない。都市部では、サステナブル・レストランを推進していく上で重要なキーとなるこの“地産地消”に取り組むことが、地方と比べると難しいのが現状だ。お店から行ける距離に畑をもつことが目標だったというベラポルトは、一年ほど前から店舗の近くで自社農園を始め、自分たちで野菜を育て、お客様に料理を提供するという都市型の地産地消を実現させた。

07. 都市で始める、小さな食の循環

家庭の食品ごみが農家の堆肥に。都市で始める、小さな食の循環「CSA」


食品ごみから堆肥、そして野菜へ。個人でも食の循環に取り組めるユニークな仕組みを作ったのが、100%天然成分で生分解性のサトウキビストローの販売を行う株式会社4Natureと、東京・表参道で開催される「青山ファーマーズマーケット」の企画・運営を行うファーマーズマーケット株式会社だ。二社は、同マーケットに出店する農国ふくわらいと連携し、家庭でできた堆肥から野菜への循環を実現する「CSA(Community Supported Agriculture、地域支援型農業)」を2021年5月に開始。会員は毎週末に開催される青山ファーマーズマーケットにて、年間で購入した野菜を定期的に受け取るだけでなく、家庭で出る生ごみを分解・堆肥化させたものを、農家に受け渡すことができる。

08. 「自給自足できる」街づくり

「自給自足できる」街づくり。気候変動とパンデミックに立ち向かう、中国雄安新区の都市開発


中国政府は現在開発中の雄安新区を、将来的な感染症のリスクと環境への影響に同時に配慮したグリーンで「自給自足できる街」にしていくと発表。街の区画は在来植物などを育てられる畑と植栽された庭に囲まれ、アパートの屋上には垂直農法の温室が設置される。屋上に隣接する部屋には住人が自分用として使用できるガーデンがあり、アパートのバルコニーにも家庭菜園用の箱が取り付けられる。これらによって、街の中で新鮮な食料を生産し、菜食ベースの食事であれば40%の食料需要に対応できるだろうと推定されている。

  • 国名:中国
  • 団体(企業)名:中国政府
09. 野菜を育てる人と野菜が欲しい人をつなぐプラットフォーム

野菜を育てる人と野菜が欲しい人をつなぐプラットフォーム「grow SHARE」


野菜の栽培を通して自給自足を超えた“共給共足”の社会をめざす、「grow」。野菜を育てる人と、野菜が欲しい人をつなぐプラットフォーム「grow SHARE」は、「AIによる栽培サポート」と「コミュニティづくり」に特化している。ユーザーが栽培する野菜を決めたら、ウェブサイト「grow SHARE」上で、野菜を育てる場所を「vegeSPOT(ベジスポット)」として地図に登録。その際、栽培する野菜の種類を登録すると、AI予測による発芽から収穫までのスケジュールが提供され、栽培をサポートしてくれる。

10. 緑化のため庭のタイルはがし選手権

アムステルダムVSロッテルダム、緑化のため庭のタイルはがし選手権を開催


気候変動の影響による豪雨や干ばつを緩和するための行動を呼びかける動きがある。街の緑化に力を入れるアムステルダム市とロッテルダム市の行政が、この自粛期間中に楽しみながら庭の緑化、つまりは街の緑化をしようと住民たちに呼びかけた。アムステルダム市VSロッテルダム市で「NK Tegelwippen(オランダタイルはがし選手権)」を開催し、それぞれの住民が合計何枚のタイルを庭からはがして緑化に貢献したかを競った。楽しみながら街の緑化や気候変動による影響緩和にまでつなげようとするオランダの姿勢に、私たちが学ぶべきことは多い。

まとめ

いかがだっただろうか。垂直農業や家庭菜園、デジタル森林浴ラジオまで世界各国の様々なアイデアを目にすると「どこにいても自然とつながることはできるのだ」と、思わせてくれる。

新型コロナ感染拡大の影響によりステイホームでデジタルに触れる機会が増え、自然が恋しくなっている人も多いだろう。そんな中で、自ら積極的に自然と触れる機会を作り、自分自身のウェルビーイングを守っていくことが大切だ。

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