近年では多様化する事業ニーズや働き方への対応と手軽さを背景に、法人や個人が場所を問わずオンライン上で自由に仕事の受発注ができるクラウドソーシングの市場が世界中で盛り上がりを見せている。グローバルでは「Upwork」や「Freelancer」などのプラットフォームが有名だが、これらのオンラインマーケットプレイスの仕組みを根本から変えようとしている会社がある。
それが、取引の全てを仮想通貨のビットコインで決済し、ブロックチェーンに精通したフリーランサーによる新たな国際労働市場を構築している英国ロンドン発のクラウドソーシングサイト、「Moneo」だ。
Moneoにはブロックチェーンに精通したコンサルタントやマーケター、デザイナーなどのフリーランサーが登録しており、特定分野に特化した専門家も見つけることができる。同社は独自の厳しい基準を満たす上位5%の人材のみを囲っており、フリーランサーの質を維持しているという。
Moneoの最大の特徴は、このオンラインマーケットプレイスを経由する全ての支払いがビットコインで行われるという点だ。これにより、個人や企業は仕事の受発注時にかかる銀行の手数料や為替手数料を大きく節約することができる。
仕事がサイトに掲載されると、フリーランサーは提案を送り、クライアントはその後希望する相手と交渉することができる。依頼者は仕事のマイルストーンを設定することができ、フリーランサーは時間をトラックできるため、Moneoのサイト上でのプロジェクト管理も簡単だ。
ビットコインによる取引は安全で、取引の所要時間はシステム内を移動するのに要する数分しかかからない。フリーランサーは支払いを受け取ったビットコインを貯蓄したり、現地通貨に換金したりすることができる。
ビットコインは既存の国家の想定範囲を超えた場所で生まれた通貨で、現在各国の政府は現状を後追いする形でそれぞれの立場から定義づけを行っている。中央銀行のような中央集権的な管理システムを必要としないビットコインは、国家権力による統制の難しさやマネーロンダリングの懸念からその使用を抑制する国もある。
ビットコインの基盤となるブロックチェーンの仕組みは再生可能エネルギー市場や新しいクラウドレンディングプラットフォームなどPeer to Peer(ピア・トゥ・ピア:複数の端末間で対等の者同士が通信をする方式)の領域では既に様々な産業で幅広く活用が始まっている。
ブロックチェーンやビットコインがクラウドソーシング市場をはじめとして個人と企業の関係性や働き方をどのように変えていくのか。今後も新たな動きに注目したいところだ。
【参照サイト】Moneo