世界中の人々が地球環境について考える4月22日の「アースデイ(地球の日)」に合わせて、アメリカ最大の飢餓救済団体Feeding Americaは、テクノロジーを利用してレストランや食料品店などの食料廃棄を削減するための新たな取り組みを始めた。
Feeding Americaが新たにローンチした無料のアプリ「MealConnect」は、同団体の大規模なネットワークを活用し、廃棄予定の余剰食料を抱える事業者と数千のフードバンクや食事提供プログラムとを結びつける新しいマッチングプラットフォームだ。2025年までに米国の飢餓を解決することを目標としている。
MealConnect上では、スターバックスなどの大手チェーンや地元の精肉店、食料品店などが廃棄予定の余剰食料を掲載すると、アルゴリズムによって最適な地元の食料貯蔵所や食料配給プログラムが選定され、マッチングされる。食品を扱う事業者であれば規模に関わらず誰でも簡単にアカウントを開設することができ、デスクトップ、ノートパソコン、スマートフォン上から利用可能だ。
今回、Feeding AmericaはMealConnectを開発するにあたりGoogleの慈善事業部門であるGoogle.orgから、150万米ドル(約1億6千万円)の資金援助を得たほか、アメリカ食料品大手のGeneral Millsからも100万米ドル(約1億1千万円)を調達した。同プログラムをアメリカ全土へ展開するのに役立てる。
Feeding Americaは2016年にはスターバックスとパートナーシップを締結し、米国内の店舗で売れ残った食品を100%寄付するという食料廃棄ゼロ目標を掲げた。スターバックスもこの目標達成に向けてMealConnectを活用する予定だ。
スターバックスのプログラムマネージャー、ジェーン・マリー氏は「MealConnectを使用することで、リアルタイムで寄付を追跡することができ、店舗やフードバンクによるより合理的なレポート作成が可能になる」と語る。
また、このプラットフォームはスターバックスのような大手チェーンだけのものではなく、地元の小規模な事業者も活用できる点がポイントだ。MealConnectのリアルタイムなマッチングモデルは散発的な食糧援助にも対応できるように開発されており、企業は必要に応じていつでも食料を寄付することができる。
食品廃棄物の解決を目的とする非営利団体ReFEDの報告によると、アメリカ人は毎年、推定720億ポンド(3265万トン)もの食料を無駄にしており、そのうち520億ポンド(2358万トン)は製造業者、食料品店、レストランによって廃棄されているという。残りの200億ポンド(907万トン)は果物や野菜の廃棄や収穫されずに放置されたものだ。
Feeding Americaによると、これは毎年218億ドル相当(約2兆4千億円)の食料が無駄になっていることを意味する。数字にすると驚くほど大きな額だ。日本には古くから「もったいない」精神があるが、アメリカではテクノロジーがその精神を具現化しているようだ。
【参照サイト】MealConnect