車のインテリアに竹素材を使用へ。フォードの持続可能なイノベーション

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アジアに広く自生し何世紀にもわたってさまざまな形で文化にとり入れられてきた「竹」。パンダの食べ物としても知られ、日本では縄文時代から利用されていたことが確認されている天然素材だ。アメリカの自動車大手フォードは、環境に優しい持続可能な素材を利用した自動車づくりを進めているが、その一環として現在、車の素材に竹を使う実験を行っている。

同社は実験により竹が引張強度や衝撃強度等の材料試験で、他の合成繊維や天然繊維よりも総合的に優れていることを発見した。今後、車内の一部を竹とプラスチックを組み合わせて耐久性のある超硬質素材を利用して作ることを検討している。同社の南京リサーチ&エンジニアリングセンターのマテリアル工学スーパーバイザー、ジャネット・イン氏は「竹は強く、柔軟性があり、完全に再生可能であり、アジアの多くの地域で豊富にある」と語る。

竹に注目しているのはフォードだけではない。1世紀以上前にはトーマス・エジソンが電球を製作する際にも竹を試しているし、建築業界では既に竹の優れた特性は広く認知されている。他の樹木が生育に数十年を要するのに比べて、竹は一日で1メートル以上も伸びることがあり、わずか2~5年で完全に成熟するため、再生しやすい資源だ。

フォードは竹の実験を継続する一方で、車に使用する持続可能なバイオプラスチックの開発に向けて、Jose Cuervo社の協力のもとでテキーラ生産工場の副産物の使用についても調査している。

フォードは既にこれまでにも持続可能なリサイクル素材を車づくりに使用している。例えば熱帯植物のケナフをドアに使用しているほか、リサイクルペットボトルから作られたREPREVE生地をカーペット等に導入し、年間500万本以上のペットボトルの廃棄量を削減。リサイクルされたデニムやTシャツの綿やナイロンは、ほとんどのフォード車のインテリアや遮音材、カーペット素材に使用されている。他にも同社が車づくりに取り入れている素材は廃棄タイヤ、稲のもみ殻、大豆、麦わら、セルロース繊維など多肢にわたる。

そこに新たに加わる竹は、強度が非常に高く自動車に適しており、成長も早くすぐ再生するためより持続可能な形で生産ができるという、うってつけの素材だ。竹は日本にも馴染みが深く、古典の竹取物語はもちろん、古くから竹刀や竹とんぼなどの竹工芸も盛んだ。新年の角松にも竹は使用されており、松竹梅というくらい竹は縁起が良いものとされる。

再生可能な竹材質で作られた車は、機能性はもちろんブランド性の向上にも大きく貢献するだろう。フォードが進める持続可能なイノベーションは、「自動車は環境負荷が高い」という従来の常識を大きく覆すための挑戦だ。

【参照サイト】WHAT’S SUPER STRONG, FAST GROWING, AND POTENTIALLY PART OF YOUR NEXT CAR? BAMBOO!
(※画像:Ford Media Centerより引用)

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