今、世界では気候変動が深刻化しているが、そのなかでもコンクリート舗装に囲まれた都市は特に熱気を帯びやすく、そこで暮らす人々の体感温度はより高くなっている。しかし、その特徴を逆に利用することで、より持続可能な都市づくりをしようと挑戦している会社がある。それが、ハンガリーの首都ブダペストに拠点を置くスタートアップのPlatioだ。
Platioが開発したのは、特別な土台を必要とせず屋根や歩道、壁、ベンチやデッキなど都市のいたるところに簡単に設置できる、リサイクルプラスチックを用いたモジュール型ソーラー舗装パネルだ。パネルの上層部には強健で滑りにくく、耐性のあるガラスのタイルが施されており、都市の景観を崩すことなく高性能のソーラーセルを都市インフラに組み込むことができる。
パネルを通じて日中に発電された電力は送電網とは独立しており、エネルギー貯蔵ユニットに蓄えられるか、舗装パネルに組み込まれたシステムや電灯、信号機などエネルギーを消費する道路インフラの電力として使用される。
このパネルは「私たちの現代生活は舗道に囲まれている。これらの舗道がサステナビリティに貢献できたら素敵なのではないか」という考えから生まれたアイデアで、EUが推進する研究・技術開発資金助成計画「ホライズン2020」プログラムからも資金援助を受けている。
現在、Platioの舗装パネルは、ハンガリー、スウェーデン、カザフスタンの三カ国で公共事業に活用されており、最初のソーラーパネルはカザフスタンの首都アスタナのモール前にある歩道に設置された。約80平方メートルのパネルから最大11.7キロワットの電力が出力され、モールの電力供給に役立っている。
また、ハンガリーのブダペストではVárosháza公園にある木製ベンチにもソーラーパネルが設置され、公園を訪れた人々はUSBコードなどを使用してクリーンエネルギーでスマートフォンやタブレットを充電することができる。
さらに、Platioはエンジニア会社のSF Marina社とも提携し、同社のスウェーデンの工場の約86の船橋にもスマート舗装を設置した。ここで生み出されたエネルギーは、港の施設や船に供給されている。
Platioのゴールは、より持続可能で自家発電型の都市を作ることだ。三人のハンガリー人エンジニアのアイデアによって、私たちの都市生活は人間だけではなく環境にもさらにやさしくなっていく。