建物そのものが展示物。気候変動を学ぶ、マルメの海洋教育センター

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2019年、“地球が気候変動による危機的状況に直面している” とする調査報告がBBC Newsにより発表され、各国の科学者約1万1000人が支持を表明した。世界の若者が行うグローバル気候マーチのニュースが飛びかい、さまざまな会議も行われたが、有用な措置を取れない組織も多い。その理由の一つに、経済成長のためのエネルギー消費はやむを得ないという考えがあるからではないだろうか。

そんな社会の流れに一石を投じるのが、気候変動や海洋の環境問題についての学びを提供するスウェーデン・マルメの「海洋教育センター(Marine Education Center)」だ。

マルメの新たな海洋教育センター

Photo: Adam Mørk

独自に開発した海洋教育プログラムを学校や一般向けに提供することで、地域の海の生態系や環境、資源の知識や保護を促進することがこの施設のミッション。実際に海に行き、海洋生物と触れ合いながら学ぶプログラムなどもあるという。ただ、マルメの海洋教育センターはただ学びの場を提供するだけではなく、建物そのものが展示物となっていることが大きな特徴だ。

センターでは太陽光パネルや地中熱ヒートポンプ、雨水貯水システムなどエネルギー効率を考慮した技術を採用しており、施設内の水の取り扱い方やエネルギー消費、換気などをすべて展示している。

マルメの新たな海洋教育センター

屋根に点在する小窓は、太陽光パネルを取り付けるためだけでなく、室内に間接的な光を取り込んだり、自然換気を促進したりする効果があるという。また、館内は太陽光を最大限活用できるようにガラスの壁で部屋を隔てると同時に、随所に木材を使うことでぬくもりを感じる空間となっている。

マルメの新たな海洋教育センター

Photo: Adam Mørk

このセンターは、コペンハーゲンを拠点に活動する建築家グループ NORD Architectsが設計したものだ。なだらかな丘に囲まれた敷地内で、建物とランドスケープが流動的に連続し、両者を曖昧につないでいるのが印象的である。また、時間の経過とともに出てくる新たな技術に対応できるよう、柔軟に設計されているそう。

NORD Architectsのパートナーであるヨハネス・ぺーダーセン氏は「このセンターは風景の中、建物の中、自然と文化の中にある」と述べる。自然のライフサイクルの中で、海洋教育センターは人工物である建築物の新たな在り方を提示している。

自然を消費し続けてきた人々が、これからも経済活動を続けるためにはどうするべきか。マルメの海洋教育センターが見せてくれる少し先の未来を、学びの糧にするのがいいかもしれない。

【参照サイト】Educating for Climate Change
【参照サイト】MARINE EDUCATION CENTER
【参照サイト】Climate change: ‘Clear and unequivocal’ emergency, say scientists
(※画像提供:Nord Architects)