自宅の庭で国際貢献、難民と地元コミュニティをつなぐ「友好的な家」

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2017年までに、シリアをはじめ、南スーダン、アフガニスタン、イランなど世界各国から300万人もの難民がヨーロッパに押し寄せるといわれている。受け入れ国は、難民用の住宅の欠如と難民が現地コミュニティにうまく溶け込めていない課題を抱えている。この課題に取り組むため、一過性のイベントやボランティア活動ではなく、日々の生活のなかでより自然に難民と地元コミュニティとの融合を促進するユニークな政策がデンマークではじまった。

建築会社であるVenligBoligは、デンマークの地方自治体や個人と協力し、難民と地元の人が一緒に住める住宅を首都コペンハーゲンで運営しはじめた。この住宅は英語に訳すと、「フレンドリー・ハウス」と呼ばれ、デンマークの一般家庭がホストファミリーとなり、自宅の庭に難民の家族用のプレハブ住宅を設置する。環境先進国のデンマークらしく、再利用可能なモジュール式でゴミを最小化し環境に優しい作りになっている。

家の中に入ると、キッチン、リビング、トイレ、バス、テラス付きで、シンプルだが木のぬくもりが感じられる。費用は地方自治体から出ており、ホストファミリーに金銭的負担はかからない。また、家族用のほか、難民とデンマークの学生混合用の住宅も、現在墓地のある広場で安く提供している。都市中心部の家賃が高騰するなか、安く住め学生にもメリットがある。2017デンマークデザイン賞も受賞し、非常に注目を集める施策だ。

難民とコペンハーゲンの地元コミュニティをつなぐ家

Image via Nagisa Mizuno

難民とコペンハーゲンの地元コミュニティをつなぐ家

Image via Nagisa Mizuno

難民の方を隔絶された難民キャンプに留めるだけではなく、活動的な市民として能力を発揮してもらうことが、彼ら自身にもデンマーク経済にとってもより良いのは間違いない。また、デンマーク人家庭にとっても、新しい世界観や友情が生まれ、住宅をとおした次世代の融合・教育の形を体現している。住む場所だけでなく、お互いの経験や知識も共有するシェアリングエコノミーの一環でもある。

人間誰しも触れたことのない新しいものや目に見えないものは信用しにくく、恐れを抱く。「難民」というカテゴリーで括られると、そこから「個」は消える。しかし、実際に近くに住みコミュニケーションをとるなかで、お互いに顔や人となりがわかり、もう「難民」ではなく、一人の友人という付き合いに変わる。このような関係性が増えれば、難民が孤立したり、住民が不安を感じることも減るだろう。自宅の庭で簡単にはじめられるが、大きな国際貢献の一歩が今はじまった。

【参照サイト】VENLIGBOLIG
【参照サイト】DANISH DESIGN AWARD
【参照サイト】MUNICIPALITY IN COPENHAGEN TO HOUSE REFUGEES IN CEMETERY
【参照サイト】ヨーロッパへの難民流入、2017年までに300万人 経済への影響は?
(※画像:VENLIGBOLIG及びNagisa Mizunoより)

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