イギリスのステーショナリーメーカーG . F Smithが、世界初の使い捨ての紙コップのリサイクルシステムCupCyclingを使って、新たな紙製品ブランドExtractをローンチした。
現在イギリスでは、1分間に4,861個、1日で700万個の使い捨て紙コップが使用されているが、そのうちリサイクルされるのはほんのわずかだという。この問題を解決しようとG . F Smithが立ち上げたのがExtractだ。
G . F SmithはJamesCropperという会社が作った世界初の使い捨ての紙コップのリサイクルシステムCupCyclingを利用している。
CupCyclingは、環境に重点を置く供給チェーンパートナーとブランドとの共同事業で、使い捨て用コップを再加工し、その価値を高める世界初のリサイクルプロセスだ。通常は埋立ゴミや焼却ゴミとなる紙コップを美しい紙に変えるのだ。
CupCyclingのシステムは以下の通りだ。まず、収集したコーヒーカップを選別して塊にし、加工機械に入れてプラスチックを除去する。除去したプラスチックはパートナー会社でリサイクルされる。そして、残った繊維から美しい紙が生まれ、この紙も最終的にはリサイクルできるのだ。
James Cropperの工場では、これまでに600万個の使用済み紙コップをリサイクルした。この工場では、1年間で5億個の紙コップをリサイクルできるという。
今回発表された紙製品の新ブランドExtractは十色の色揃えを持つ。自然にインスピレーションを受けた優しい色遣いで、我々を穏やかな気持ちにさせてくれる。
今回ローンチされたばかりのExtractだが、G . F Smithのジョイント経営ディレクターのJohn Haslam氏は次のように語っている。「我々は、実はこの紙の製造が続くことは望んでいない。私たちが使い捨て用コップの使用を辞めることができれば、それは素晴らしいことだ。その時が来たら、今度は紙皿やボール紙などを再利用していく。我々は、今の世界に少しでも注意を促していきたい。」
使い捨て紙コップの世界的な消費問題を解決しようという思いから開発された、新しい紙製品ブランドExtract。この新製品の大切な原料である使い捨て紙コップが無くなることを、製造会社自身が望んでいるのがとても印象的だ。Extractのこれからに注目しつつ、私たちも生活のあり方や消費のあり方をもう一度考えていきたい。
【参照サイト】G . F Smith launches new paper made from disposable coffee cups
【参照サイト】CupCycling
(※画像:It’s Nice Thatより引用)