ソーラーパネルの設置や屋上の緑化など、エコ住宅に関心がある人も多いだろう。最近ではそういう人を応援するための金融商品も増えてきており、たとえば日本でも環境に配慮したマイホームを購入時に金利の優遇が受けられる環境配慮型住宅ローンなども登場している。
一方アメリカでは、住宅ローンとカーボンクレジットを組み合わせることで、ローンを組むだけでカーボンニュートラルな暮らしを実現できる世界初のグリーンモーゲージ、Carbon Neutral Mortgageが誕生した。
カーボンクレジットとは、森林保護や再生可能エネルギープロジェクトなどにより実現したCO2排出削減量を取引可能な形態にした通貨のようなものだ。自身の努力では削減しきれないCO2排出量がある場合、このカーボンクレジットを購入することで間接的に自身のCO2排出量を相殺することができる。
米ニュージャージー州に本拠を置く住宅金融会社のResidential Home Funding(RHF)とカーボンオフセット管理会社のCarbon Credit Capital(CCC)が共同で開発したCarbon Neutral Mortgageのシステムは、とてもシンプルだ。
Carbon Neutral Mortgageには、通常の住宅ローン融資を受ける際に銀行に支払う手数料が免除される代わりに、同じサイズの住宅から排出されるであろう二酸化炭素排量に相当するカーボンクレジットがローンにパッケージとして組み込まれている。また、カーボンクレジットの金額は通常の手数料を払う場合より安く設定されており、利用者は通常のローンを組む場合と比較して少なくとも100米ドルのコストを削減できる。
このCarbon Neutral Mortgageを活用して住宅を購入すれば、利用者はより経済的負担を減らしつつ、日々の生活から排出される二酸化炭素をカーボンオフセットすることができ、エコな暮らしが実現できるのだ。
購入したカーボンクレジットは、世界中の温室効果ガス削減プロジェクトに投資される。プロジェクト内容は風力発電の支援や熱帯雨林の保護など多岐にわたり、環境面だけでなく、社会面や経済面、そして健康面にも配慮された現地の貧しいコミュニティーを支援するものとなっている。
さらに、プロジェクトは第三者機関の監査を受けて入念に調査されているため信頼性も高い。ゴールドスタンダードやボランタリーカーボンスタンダード (VCS)、クリーン開発メカニズムという国際的認証基準に登録されており、質の確保のため継続的にモニターされている。
エコな暮らしをしたいと思っても、手間やお金がかかると重い腰があがらないことがある。しかし、Carbon Neutral Mortgageを利用すれば、お金を節約しながらも簡単に環境にいいことができるのだ。
残念ながらこのグリーンモーゲージは現在アメリカでのみ展開予定だが、冒頭で述べた環境配慮型住宅ローンなど、国内でも環境にやさしい暮らしを実現できる手段はたくさんある。マイホームを購入する際には、人間全体のホームである地球のことも考えながら家や住宅ローンを選んでみると、自分、家族そして地球まで笑顔にすることができるはずだ。
【参照サイト】Residential Home Funding Corp.
【参照サイト】Carbon Credit Capital