自分の温室効果ガス排出量を計算してオフセットできる投資アプリ「Wren」

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2016年にパリ協定が発効され、全世界で地球温暖化対策に向けた取り組みの強化が求められている。東京都も2050年に二酸化炭素排出量をゼロにすると目標を掲げており、その実現に向けて私たちの身近でも対策が進んでいる。しかしながら現状では、多くの国でパリ協定で設定した温室効果ガス削減目標を達成できておらず、達成への見通しも暗いといった課題がある。

そんな中、政府や自治体だけでなく企業や市民など幅広い社会の構成員が温室効果ガス削減に取り組むため、「カーボン・オフセット」が国内外で広まりつつある。カーボン・オフセットとは、個人や企業が温室効果ガス削減に向けた努力をすることを前提に置きながらも、削減しきれない分を他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減量・吸収量を購入することや他の場所で温室効果ガス削減に向けたプロジェクトを実施することで、埋め合わせる取り組みを指す。

具体的には、普段の生活から自動車を控える、省電力を意識するといった行動に加えて、植林や森林保護への投資を通して自分の排出する温室効果ガスを減らすような行動が挙げられる。2015年におけるカーボン・オフセットの全世界年間取引額は300億円以上となっており、再生可能エネルギーへの投資や企業のCSRによる環境保全活動への投資なども含まれている。

カーボン・オフセットの普及に伴って、一般の人がより身近に接する機会を作るために、ウェブ上で投資・寄付をできるサービス「Project Wren」がリリースされた。Project Wrenは、「誰もが地球温暖化対策に取り組める」ことを目的としたサービスで、オンライン上から数分でカーボン・オフセットへの投資ができる。

ユーザーはまず、サイト上から自分の住んでいる国や「自動車を持っているか」「年に何回飛行機に乗るか」「食生活の傾向」などの簡単な質問に答える。これによって、自分が排出している温室効果ガスの推定値と、住んでいる国の国民平均との差を定量的に把握することができる。自分がどれだけ温室効果ガスを「出しすぎているのか」を数字で把握できる仕組みだ。

その後、自分が出している温室効果ガスの内、どれだけの量をカーボン・オフセットで埋め合わせたいかを「半分」「全部」「2倍」の3つから選ぶことができる。選んだ選択肢に応じて、植林や熱帯雨林の保護などおすすめの投資先プロジェクトと、投資すべき金額が表示され、その場でカーボン・オフセットの購入ができる仕組みだ。

自分が排出する温室効果ガスの推定値は、米国の大学の研究データや世界銀行のデータから自動で算出される。また、投資先プロジェクトもProject Wrenによって厳選されており、「プロジェクト成果が定量化できる」「投資によってしか成立しないプロジェクト形態である」「透明性があり情報を公開している」といった3つの条件を満たすものに限定されている。

温暖化対策は、国際的な枠組みや産業界のイノベーションといった私たちの生活から遠いところで進んでいると感じがちだ。自分の生活が環境に与える影響を可視化し、自らその負担を減らせる仕組みは、生活レベルで温暖化対策を進める上でさらに広がっていくだろう。

【関連ページ】森林破壊とは 数字と事実・原因・解決策
【参照サイト】Y Combinator-backed Project Wren is aiming to make carbon offsets more consumer friendly
【参照サイト】Project Wren
【参照サイト】日本の温室効果ガス削減目標「不十分」 OECD指摘
【参照サイト】世界のCO2総排出量、4年ぶりに増加=国連
【参照サイト】2050年に都内のCO2実質ゼロに 小池知事
【参照サイト】平成28 年度カーボン・オフセットレポート