実体験に勝る学びなし。フィンランド版キッザニアからみる新しい学校教育

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社会の仕組み、仕事、働くとは何なのか。教室の中で先生から言葉で教えられただけでは理解できない。それを自分の体で体験し学習する構想こそが、フィンランドの新しい教育制度である、Me&MyCityだ。

Me&MyCityは、小中学生がミニチュア都市で職業・社会体験ができる施設だ。この新しい教育制度は、2009年にフィンランドの6学年の生徒(12~13歳)を対象にはじまり、最近では9学年の生徒(15~16歳)も対象としている。

子どもたちが仕事を体験できる日本の施設「キッザニア」が、学校教育に組み込まれているのだ。

Me&MyCityは約600㎡の空間に、会社毎に区分けされた箱型のブースが並んでいる。スーパーやレストラン、銀行なども存在する。ノキアやサムスンなどの実在する会社がスポンサーをしており、生徒たちはそれらの会社で働くことになる。

ブースで区切られているMe&MyCity

Image via Me&MyCity

Me&MyCityへの訪問当日は、生徒たちは事前調査での希望の職業と教員とのインタビューを元に勤務先に振り分けられる。実際に従業員として働き、商品の販売などを行う。また、その働きによって得られた通貨で、他社の商品の購入から、税金の支払いまでが行われる。

6学年の生徒を対象とした学習コンセプトには、教員のトレーニング、社会、経済、銀行の仕組みなどについて学ぶ10の事前授業、そしてMe&MyCityへの訪問が含まれる。

9学年の生徒は、6学年の生徒よりもさらに深く学ぶことになる。9学年を対象としたコンセプトは歴史、社会学、キャリアカウンセリングなどをとおして、ビジネスや世界経済について学ぶことを目的としている。

子どもたちが集まって話し合いをしている

Image via Me&MyCity

生徒たちは会社の経営や様々な仕事に責任をもって取り組む。所属する会社ごとに、最高利益を上げることと最も良い評判を得ることを目的としてチームで競い合うことになる。勝利するためには、緻密な戦略と、素晴らしいコミュニケーションが必要だ。

「学校での学習にさらに必要なことは、『学ぶ楽しさ』と『機能性』である。そして、そのモチベーションは、実体験によって学ぶことで保たれる」Me&MyCityのCEOであるTomi Alakoskiは語る。

現在では、1年間にフィンランドの6年生の全体の約7割にあたる約4万人が参加している。そして、参加者である生徒と教員の両方から、「学校生活において、最も記憶に残る日だった」というようなポジティブなフィードバックを受け取っているという。

職業体験中の児童

Image via Me&MyCity

社会の仕組みというのはとても複雑で子どもには難しいと考える人もいるかもしれない。しかし、これを学ぶのに早すぎるということはないのではないだろうか。現時点でスウェーデン、イギリス、ノルウェー、南アフリカもMe&MyCityに興味を示している。

様々な学校教育改革が議論されている今、日本もフィンランドのこの革新的な教育制度を見習ってみてはどうだろうか。教室の外でのリアルな社会勉強をとおしてこそ、子どもたちも「将来の夢」を楽しく真剣に考えることができるだろう。将来の希望をもった子どもたちほど、国の未来に心強いものはない。

【参照サイト】TAT Me&MyCity
【参照サイト】Finnish school entrepreneurship programme wins education innovation award
(※画像:TAT Me&MyCityより引用)