貧困地域の人々にも快適な暮らしを。4000ドル、24時間で建てられる3Dプリントの家

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今日も一仕事、頑張った!ふぅと一息つき、肩の力が抜けていく。帰ったら、あたたかいお風呂につかって、ゆっくり寝よう。誰にでも経験のある、日常のひとコマだ。

「安心して帰れる我が家」の存在。そのありがたみを、改めて考えることはなかなかないかもしれない。しかし世界には、安全で快適な家を持てない人々が10億人以上いるということを、あなたは知っていただろうか。

この現状を変えようと、住宅建築の改革に取り組む米ICON社が立ち上がった。彼らが手を組んだのが、世界の貧困地域で住宅建築プロジェクトを行うNPO法人NEW STORYだ。

両者が協働して提案するのは、3Dプリンターを使って建てる住宅である。なんと、600~800平方メートルの一軒家がたった24時間、さらに予算4,000米ドル(約42万円)以下で建てられてしまうというから驚きだ。

3月には、米国で初認可となる3Dプリンター製モデルハウスが公開された。 リビングや寝室はもちろんのこと、入口にはポーチまで付いており、簡易住宅のイメージとは程遠い、とても快適そうなつくりになっている。

ICON社が独自に開発したのが、「Vulcan」と呼ばれる持ち運び可能な建築用3Dプリンターだ。このプリンターが専門とするのが、エルサルバドルやハイチの農村地域など、電力や飲み水の安定供給が難しい地域に適した住宅である。建築用の材料には、砂とセメントと水とを練り混ぜて作るモルタルを使用する。世界のどこでも手に入りやすい素材だ。

従来の建築方法と比較して、3Dプリンターの利点とは何か。ICON共同経営者のJason Ballard氏はこう語る。「断熱効果が高い構造をしているので、夏は涼しく、冬は暖かい部屋の中で過ごすことができます。廃棄物はほぼゼロに近く、デザインも柔軟に変更できます。そしてなんといっても、費用を従来の半分以下に抑えられるのが魅力ですね。」

Image via ICON

3Dプリンターを使って建てる住宅ということで、その耐久性が気になるところだが、NEW STORYによれば「従来のコンクリート製・レンガ製建築と同じくらいか、それ以上に長持ちする」ということだ。維持費を最小限に抑えるための、シンプルな構造がポイントだという。家のどこかが傷ついたり壊れたりしても、修復が簡単である。

彼らの初プロジェクトの舞台はエルサルバドルだ。100軒の住宅を備える「集落」を完成させるべく、現在ウェブサイトで支援を募っている。 2018年中にすべての住宅の建築の完成、2019年に対象家族の居住スタートを予定している。

時代の最先端のテクノロジーを駆使して、人間の最も基本的なニーズにこたえる。そんな時代が到来している。技術大国であり、世界でもっとも物質的に豊かな国の1つである日本に住むわたしたちが、世界に対してできることは何だろうか。この取り組みをきっかけに、考えてみてもいいかもしれない。

【参照サイト】ICON
(画像:ICONより引用)