喫茶店で冷たい飲み物を注文すると、こちらが何も言わなくてもストローがもらえる。しかしこの光景は、いずれ「過去のもの」になるだろう。旅客機の中で煙草を吸う光景が、今ではまったくあり得ないように。
そもそも、アイスコーヒーを飲むのに本当にストローが必要なのだろうか?使用済みのストローはプラスチックゴミになる。ペットボトルよりも小さいため、投棄されやすいのが現実だ。海鳥やウミガメが捨てられたストローを飲み込むということもある。
アメリカ・シアトル市は去年からプラスチックストロー削減に向けたキャンペーンを始めている。その手始めに制作したのが、以下の動画だ。
カフェの客、通行人、空港のロビーで飛行機を待つ男性。手にしていた飲み物から、いつの間にかストローが消えている。口にしようとすると、ストローがないことに違和感を覚える。
広場でリフティングをしながら紙パックのドリンクを飲んでいた女性も、ストローがないことに首を傾げた。しかし最後は「まあ、いいか」という感じで紙パックを口に傾ける。
ストローがなくても、ドリンクは飲める。
シアトルはプラスチックストローの提供を規制する条例を2017年から整備した。これはあくまでもレストランが対象のものだが、規制対象外の企業や団体が、これに賛同する動きが相次いだのだ。そのひとつが、メジャーリーグのシアトル・マリナーズである。
マリナーズがまず行ったのは、ホームゲームでのストロー提供の中止である。コーラやアイスティーをストローではなく直接口で飲んでくれ、ということだ。
これに対してプラスチック関連企業からの批判はあったものの、シアトル市民には好意的に受け止められた。アメリカンフットボールのシアトル・シーホークスも同様の取り組みを実行している。
これらは、あくまでも各団体が自主的に行っていることだ。シアトル市から法的圧力をかけられた、という性質のものではない。プラスチックストロー削減運動がいかに有意義なものか、シアトル市民の大半が理解しているということに他ならない。
もちろん、この流れは日本在住者にとっても他人事ではない。我々は普段、何気なくストローを口にしている。しかし、今一度手元のストローを見つめてみよう。これもまたプラスチック製品であり、数十分後には他に用途のないプラスチックゴミになっているはずだ。
自然環境問題の解決に欠かせないのは、人間の「気づき」である。
【参照サイト】Strawless In Seattle-Vimeo
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