ファストフードを買って帰宅する途中、凸凹道で車が揺れ、食べ物が大惨事に…… 。このような経験がある人はいないだろうか。ここに目をつけたドミノピザが、アメリカで「Paving for Pizza(ピザのための舗装)」と銘打つ道路舗装のための資金援助キャンペーンを行った。
「ピザを店から家に持ち帰る途中、路面のくぼみ、ひび割れ、隆起のせいで、ピザが取り返しのつかないダメージを受けることがあります。」Paving for Pizzaのウェブサイトのトップでは、実際に配達中のピザボックス内の映像を見ることができる。
たしかに、道路の凸凹に伴い画面は大きく揺れ、ピザはぐちゃぐちゃだ。「私たちはこのような悪路からあなたのピザを守るため、全国の街で道路舗装のお手伝いをします。」ドミノピザはこう謳っている。
キャンペーンの仕組みはこうだ。まず、自分の住む地域に舗装が必要な道路を見つけたら、Paving for Pizzaのウェブサイト内の専用フォームにその場所の郵便番号を入力する。その後、ドミノピザ側が実際に舗装を行う場所を選出。選出された地域の自治体は、舗装資金として5000米ドル(約55万円)を受け取ることができるのだ。
すでにアメリカ国内のいくつかの街で試験キャンペーンが行われており、カリフォルニア州バーバンク、テキサス州バートンビル、デラウェア州ミルフォードの3つの地域で、50以上のくぼみが補修された。さらにジョージア州アセンズでは150平方ヤード(約125平方メートル)の凸凹道の舗装が行われた。
民間企業が公共工事を担う必要性について、懸念を示す声もあったが、自治体からの評判は上々のようであり、ペンシルバニア州バートンビルの町長は、「このユニークで革新的なパートナーシップのおかげで、バートンビルではより多くのくぼみの補修ができた。」と喜びの声を寄せている。
この斬新なキャンペーン、「ピザを守るため」との名目ではあるが、ドミノピザの真の狙いは何なのか。実は、舗装が完了した道路には、ドミノピザのロゴと「Oh yes we did.(やったのは私たちですよ)」の文字がプリントされている。これが広告の役割を果たすのだ。
つまりこのキャンペーンにより、地域の住民はくぼみのない安全な道を手に入れることができ、ドミノピザ側は宣伝効果、さらに社会貢献による企業イメージの向上も狙えるというわけである。企業にも社会にもメリットがあるこのようなキャンペーン、今後他の企業にも広がっていくことを期待したい。
【参照サイト】Paving for Pizza
(※画像提供:Shutterstock.com)