ちょっとの工夫が電子ゴミを減らす。紙が原料、生分解できるバイオ電池

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将来、電池は紙から作られるようになるかもしれない。

ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の研究チームが、紙を原料とする生分解可能なバイオ電池を開発した。

私たちは、パソコン、テレビ、タブレット、携帯電話など、あらゆる電気製品に囲まれて生活しており、使わなくなった電気製品の多くを捨てている。この電気製品が他の製品にリサイクルされる確率はわずか12.5%(※1)だという。ただ電子ゴミになっていく電気製品の廃棄問題の改善策の一つとなりえるのが、今回開発されたバイオ電池だ。

紙が原料のバイオ電池

これまでも、紙が原料の電池は「環境にやさしい選択肢」として、その可能性が科学界で話題となってきた。しかし容量が小さく、生産が困難で、実際に生分解できるのか疑わしいという問題があった。研究チームが今回開発したバイオ電池は、この問題をすべて解決する。

この電池は、従来の電池より生産が容易だ。低コストで柔軟性があり、効率がいい。開発にあたって、ビンガムトン大学のチェ准教授とサディック教授が共同研究を行った。チェ准教授は紙を原料とした電池を開発し、サディック教授は生分解可能な電池を開発したのだ。

このバイオ電池は、紙とポリマー(重合体)から作られるハイブリッド電池で、このポリマーが電池を生分解可能にするカギとなる。研究チームは水中で電池分解を試験し、他の微生物を入れたり、特別な設備を用意したりしなくても生分解できることを確認した。

紙が原料のバイオ電池

(C)Seokheun Choi

そして、ポリマーと紙を使用した構造が、この電池が軽量で低コスト、柔軟である理由だ。チェ准教授は、特に柔軟性をこの電池の大きな長所だと考える。「ハイブリッドの柔軟な紙とポリマーでできた電池を、折りたたんだり積み重ねたりするだけで、パワーを向上できる可能性がある。」と、同准教授は語っている。

また、研究チームは「バイオ電池の生産プロセスは、かなり簡単で、電池の形状は用途によって修正できる。」と述べている。この電池は今後、さまざまな電気製品の小型軽量化にも貢献していきそうだ。

ビンガムトン大学が開発した、電子製品の廃棄問題改善に貢献する電池。これまでのバイオ電池よりも性能がよく、確実に生分解されるということで、期待が高まる。今後のさらなる研究開発が楽しみだ。

※1 20 Staggering E-Waste factより

【参照サイト】Scientists create biodegradable, paper-based biobatteries
【参照サイト】A paper battery powered by bacteria
(※画像:ACSより引用)