キノコで発電する、持続可能な未来の照明装置とは?

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アメリカのスティーブンス工科大学が、キノコで発電する未来の照明装置を開発した。秋も深まった夜、暗い家に帰ってキノコの照明装置のスイッチを入れるようになる日が、もうすぐ来るかもしれない。

私たちの生活に欠かせない電気。この電気を生み出す電力の確保は、現代社会の重要な課題だ。そしていま、気候変動の対策として、化石燃料を使わない再生可能エネルギーの開発が進められている。

これまでも、私たちの身近にある植物を照明装置として使う研究が行われてきた。微細藻類から遺伝子を取り出して、木に移植するサステナブルな発光方法や、植物にナノ粒子を埋め込んで植物を発光させる方法などだ。

今回、スティーブンス工科大学が注目したのはキノコ。同大学の研究チームは、小さいキノコとシアノバクテリアを組み合わせた。キノコの傘の上に3Dプリントされるバクテリアが光合成によってエネルギーを供給する間、キノコはバクテリアに陰と湿気、および栄養分を提供するのだ。

スティーブンス工科大学

(c) American Chemical Society

キノコの発電方法は以下のとおりだ。

まずはじめに、グラフェン・ナノリボン(以下、GNR)を含む電子インクを、生きたキノコの上に枝状に3Dプリントする。次に、複数箇所で交差させながら、シアノバクテリアを含むバイオインクを渦巻状にプリントする。電子はバクテリアの外膜を通って、この交差箇所でGNRの伝導性ネットワークに移動する。

そして、研究チームがキノコに光を当てたところ、シアノバクテリアが光合成を行い、約65ナノアンペアの電流が生じたのだ。

65ナノアンペアという電流は、電子機器にエネルギー供給するには不十分だが、研究者らは、複数のキノコを並べればLEDランプを点火できるとみている。現在はこのシステムを使って、より大きな電流を生み出すべく、さらなる研究を行っている。

さらに「他のバクテリア種とも組み合わせて、この3Dプリント方法を使えば、生物発光もできるだろう。」と、同チームは述べている。

私たちの身近にあるキノコとバクテリアを使った、エコな発電方法。3Dプリントで生物発光するキノコで、家の中が明るく照らされることを想像するだけで、気持ちもホカホカしてくる。実用化が待ち遠しい。

【参照サイト】A bionic mushroom that generates electricity