イギリスのスタートアップAEROPOWDER社が、食用鶏の羽を再利用した世界初の断熱包装「pluumo(プルーモ)」を開発した。
近年、多くの人が使う便利なネットショッピング。EC大手アマゾンジャパンの事業売上高は、2016年に前年比17,5%増の1,1兆円(※1)を記録し、インターネットを利用した商品輸送は急成長を遂げている。商品によっては断熱材が必要になり、現在その多くには発泡スチロールが使われている。
しかし、発泡スチロールをはじめとする合成樹脂が、環境へ与える負担は大きい。発泡スチロールは石油を原料としており、埋立後に分解されるまで数百年かかる。また、スチレンをはじめとした、有毒で発がん性の疑いのある物質を排出する。リサイクル率も低いのが現状だ。
そこで、AEROPOWDER社が発泡スチロールの代替品として注目したのが、食用鶏の「羽」である。
毎日1億3千万羽の鶏が世界中で食されている現在。鶏の体重の5%を占める羽は、そのほとんどがゴミとして焼却処分されるか、他の動物の餌に加工されている。イギリスでは、処分される羽は毎週1千トンにものぼるという。
AEROPOWDER社は、この食用鶏の羽を処理して、欧州の「生分解性プラスチック総合規格」認証を受けた生分解可能なフィルムで包み、pluumoを作り出した。同社のミッションは、私たちが使うものを持続可能な材料から作り、未来を創造すること。ゴミとして処分される大量の羽を、包装材としてよみがえらせたのだ。
羽は、エコな断熱材として優れた特性を持つ。自然界で一番軽い繊維でありながら、強度が高いのだ。そんな羽でできたpluumoは、気温23℃の環境において、53時間ものあいだ商品を5℃以下に保つことができる。また、断熱性を損なうことなく、最低10 回は繰り返し使用できる。
商品を冷却したときに生じる凝固も吸収するため、商品が濡れることはない。さらに、pluumoは折り畳めるため、場所を取らずに収納できる。これにより、保管場所も縮小できるだけでなく送料の削減にもつながる。
2018年9月には、pluumoは欧州のサーキュラーエコノミー賞である「2018 Green Alley Award」を受賞した。決め手は、「同製品がゴミ削減に寄与し、経済を持続可能にする」点だったようだ。
食用鶏の羽を利用してゴミを減らす、エコな断熱包装pluumo。私たちがこの包装材を使用するとき、きっと動物の命や私たちの命に思いを馳せるだろう。そして、この思いが次のエコ消費につながっていく。
※1 アマゾン日本事業の2016年売上高は約1.1兆円【Amazonの2016年販売状況まとめ】
【参照サイト】AEROPOWDER
【参照サイト】Pluumo
【参照サイト】Aeropowder wins Green Alley Award 2018
(※画像:pluumoより引用)