「ここ20年で地球の緑化が進んでいる」NASAが観測。中国とインドが大きく貢献

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2019年2月、ボストン大学などの研究者が、20年前と比べて地球の緑化が進んでいるという内容の論文を発表した。全体で見ると、地球の植生地の3分の1で緑化が進んでいるという。

地表の表面積あたりの葉の量は2000年代初頭と比べて5%増加しており、これはアマゾンの熱帯雨林に匹敵する広さだという。そして世界で最も人口の多い中国とインドが、地球の緑化に大きく貢献していることもわかった。

世界で増加した緑化の少なくとも25%は、中国の貢献によるものだという。中国が貢献している緑化の42%は森林面積の増加によるもので、32%は穀物生産量の増加による。中国は土壌浸食や大気汚染の影響を小さくするために森林保全活動を行っており、その成果が現れているといえる。

一方インドの貢献のうち、わずか4.4%が森林面積の増加によるもので、82%が穀物生産量の増加によるものだ。インドと中国の耕地面積は2000年代初頭から大きく変わっていないが、穀物生産量は2000年から35~40%増加している。両国では増加する人口を養うために多毛作を盛んに行っており、その結果緑化が進んでいる。

この論文の筆頭筆者であるボストン大学のChi Chen氏は、「中国やインドなどの人口の多い国では過耕作が行われ、土地が劣化していると一般的に考えられているので、これは驚くべき発見です」と話す。

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今回の発見を可能にしたのは、NASAの地球観測衛星TerraとAquaに搭載された中分解能撮像分光放射計(MODIS)が撮影した、20年間の記録だ。MODISは地球のほぼすべての場所を毎日撮影し続け、研究チームが地球の状況を詳しく調べるのに大いに役立った。

論文の共著者であるRama Nemani氏は、「最初に地球の緑化が進んでいることを確認したときは、温暖かつ湿潤な気候と、増加する二酸化炭素による肥沃化効果(※1)によるものだと考えました。しかしMODISのデータのおかげで、人間も地球の緑化に貢献していることがわかりました」と話す。

今後地球の緑化がどのように進んでいくかは、さまざまな要因に左右されるという。たとえばインドでは地下かんがい(※2)によって食糧の増産が可能になっているため、今後地下水が枯渇すれば状況が変わるかもしれない。また、世界的に緑化が進んでも、ブラジルやインドネシアなどの熱帯地域で失われた自然植生をすべて補うことにはならないと研究者は指摘している。

とはいえ今回の発見から、世界の人々が問題を解決しようと積極的に取り組んでいることもわかる。Nemani氏によれば1970~1980年代のインドと中国では、植生の損失が深刻だったという。しかし1990年代に入って人々が問題に気づき、今日ではその両国が状況の改善に取り組んでいる。今後も私たち人間は、自然を大切にするマインドを持ち続ける必要がある。

※1 土壌に栄養素を与えて作物がよく育つようにすること。
※2 田んぼの暗渠を利用し、排水や用水を引き込むことで地下から水を供給できるようにする仕組み。

【参照サイト】 China and India Lead the Way in Greening