近年、エシカル消費への関心が高まりつつあるが、いざエシカルな買い物をしようとしても実践するのはなかなか難しい。京都府が行なったエシカル消費に関する意識行動調査(※1)によると、その理由として一番多かった回答は「身近な店舗でエシカルな商品やサービスがないから」、次に「エシカル商品等の情報を得ることができないから」、三番目に「エシカル商品は値段が高いから」となっている。
つまり、エシカルな買い物を促進するための重要な決め手は、価格よりも「どこでどんなエシカル商品が販売されているか」という情報が消費者に確実に届いている、ことであることがわかる。
この課題解決にぴったりなアプリがある。ニュージーランド生まれの「Connecting Good」略して「CoGo」だ。エシカル、そしてサステナブルな買い物に関心のある消費者と、そのような取り組みをすすめる企業をつなぎ、一緒にグローバルな社会問題、環境問題を解決していくような仕組みをつくろうというものだ。
利用方法は簡単。まずは、気候変動やアニマルウェルフェア、労働問題など自分が関心のあるトピックを選び、住まいに関する情報などを登録する。すると、自分の家から近く、関心のある分野の取り組みをしている事業者や、お店を紹介してくれる。さらに、アプリを使って買い物をすると自分がどんな問題の課題解決に貢献しているのかを可視化してくれる。利用は無料だ。
事業者が自分のビジネスをアプリに登録する場合は、認証を受けるための「バッジ」を得る必要がある。バッジとは、事業運営や製品が人、環境、動物の持続可能性を反映しているかどうかを判断する30のテーマからなるもので、たとえば、持続可能な農業、カーボン削減、動物の放し飼い、サプライチェーンの見える化、などがある。
各バッジには基準があり、2年ごとに遵守し続けているかどうか評価される。「コンポスト」のバッジであれば、食品廃棄物を埋め立てごみにしないためのシステムをつくっていることが求められ、「コンポスト収集事業者、もしくはコンポストシステムの名前」「正確なラベルがついた、店内のコンポストシステムの写真」が証拠として求められる。さらには、毎年何キロの食品ごみを埋め立てから回避できたかを報告しなければならない。
また、登録にあたっては最低でも製品の取り組みに対してバッジを一つ、経営上の「バッジ」は三つ取得しなければいけない。さらには、持続可能性を高めるための取り組みを一つ行うことを宣誓するよう求められる。事業者にとってはハードルが高いようにも思えるが、消費者がしっかりと信頼できる証になりそうだ。
このアプリの面白いところは、消費者がサステナビリティに取り組む事業者を知るきっかけをつくると同時に、事業者も応援する仕組みになっている点だ。
ユーザーは、たとえばヴィーガンレストランや、エシカル素材しか使わないTシャツ屋、児童労働の問題解決に向けて取り組むチョコレート屋など、エシカルでサステナブルな取り組みをしている企業を家の近くで探すことができ、応援したい事業にお金を落とすことができる。
事業者は、「エシカル企業」としてアプリに登録し、情報発信などを通して、企業のターゲットとなりうる「エシカルな」顧客を確保することができる。また、ユーザーの購入状況などもリアルタイムで届くため、社会に貢献するモノやサービスによって事業を展開していきたいと思っている事業者は、消費者の関心を理解した上でのマーケティング戦略を立てることが可能だろう。
「すべての事業者がよいことのための力になるという、新しいインパクトを持った経済を信じている。CoGoを通じた、関心の高い消費者と事業者の前向きなフィードバックの輪がこのビジョンに向けた取り組みを加速させると確信している」CoGoはこうコメントする。
サステナブルな社会をつくっていきたいという個人の思いと企業の思いを、気軽で簡単に、しかしながらしっかりとマッチングさせるCoGo。消費の好循環が拡大、スピードアップしそうな予感大だ。
※1 2016年 京都府府民生活部消費生活安全センター実施
【参照サイト】Connecting Good
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